(C)2016 真鍋昌平・小学館/映画「闇金ウシジマくん3」製作委員会
よくわかるネットワークビジネス編。感想としてビジネスの内容にも触れるのでネタバレとします。
結論として、「すぐに稼げるようになるからだいじょうぶだよ」「まずリスクを取って金を払おう」みたいなのはじゃあその憧れの相手がどういうビジネスモデルで利益を上げているかをちゃんと考えてみような、って話でした。
マネーゲーム、っていうより情弱商売といったほうが合ってる感じ。
ネットワークビジネスで成り上がろう
本作はネットワークビジネスで秒速一億を稼ぐ男、天生翔の無料セミナーからずるずると情報商材沼に沈んでいく沢村と、不倫やらキャバやらで身を滅ぼしていくダメリーマン加茂さんの二本立てに、その彼らへ貸し付ける闇金業者カウカウファイナンスが絡んでくるという流れでお送りされます。
金額や内容はだいぶ誇張されているのでわかりやすく「こんなん引っかからねーよ」って思えるところは親切かもしれないですね。
天生翔は情報商材、要するに儲かるための方法を販売して大金を稼いでいるプレイヤーです。
沢村はその天生が主催する無料セミナーから入塾→周りの友達に商材を販売するためにあれこれと手を打っていくというもの。
そして沢村自身も天生やその弟子、清栄の養分であり食い物にされてるあたりまた哀しい。
加茂さんはわかりやすい阿呆だったのでキャラクター的には見てて面白かったけどそれ以上の感想は無い。むしろあそこまで来ると一周回って癒やしを感じるところまである。
それはマルチではないのか
で、この話のキモになっているのはネットワークビジネスというやつ。
所謂マルチ商法というやつ…なんですが、ただ商品を売っていくだけでもないのでややこいところもある。
作品内では天生の「天生ハイパーメソッド」、清栄の「清栄メソッド」など用意されている情報商材を販売してバックマージンを受け取っていて、そのあたりは完全にマルチ。
でも、システム的にキモになっているのはそこではなく、そのバックマージンによって儲かったという自分の成功体験をパッケージ化して売ったり、セミナーで集客集金したりというところなんですよね…
このあたりが健康食品を売ったりするのとは違うところで、オリジナル劣化コピーが幾らでも作れるといいますか。
もともとノウハウなので原価はあってないようなものですし、そのオリジナルメソッドをいかにして売るかという話に集約されます。つまり信者ってやつ。
中身はたぶん、天生メソッドの受け売り+自分の生い立ちみたいなもんなんでしょうかね…ああいうの実際何が書いてあるんだろう…
そういう劣化コピーの行き着く先として、刈ベー激アツメソッドはすごいと思った。シンプルイズベストというか。すごい。あれ以上削れない。
ノウハウやなんかを教えて貰うのに対価を払うこと自体はごく普通のことで、要は授業料というやつなのでそれは別にいいんですが。
問題は、その価格と中身が釣り合ってないことですわな。
入会100万円、すぐに月額100万稼げるようになるからペイできる! みたいなのはどうみてもアレでしょ
友達紹介したら10%とかもうね。
また、このノウハウは個人に依存しているところが多くて再現性が低い。書いてあるとおりにやったとしても上手くいくか…っていうか、同じ内容なら劣化コピーより天生メソッドを直接買うでしょ。みたいな。
「メソッドどおりにちゃんとやったか?」みたいなくだりでは、ちょっとパチスロ攻略法という情報商材のことを思い出しましたけどアレとは違う話ではある。
(パチスロの絶対出る裏コマンドみたいなやつを教える系の情報商材がたまに売られてたりする。でも9割方ガセ。「○○のタイミングで○○を押して~」みたいなのが書いてあって、その通りにやってもまあガセネタなんで出ないんだけどクレーム入れても「タイミングが合ってないお前が悪い。タイミングが合えば出るはず」って言われる系。実際に店舗で見せられるパターンもあるらしいけど、それはその台が出るように裏ロムに入れ替えられてたりするとか。つまりノーマルでは出ない。また、まれにガチの情報があったりするらしいが、それが一般に出回る頃にはもうメーカーのほうで対策されたりして結局すぐ使えなくなったりするみたい)
冴える沢村の営業術
そういうマルチ無間地獄の中で、同時期のライバルだった沢村としんこchの明暗を分けたのは沢村のギリギリなアイデア力。
多少見栄を張ったブログを作っても十数万する商材がほいほい売れるわけがない…リアル知人たちはそんな金を持ってない、そもそも情報商材が何かを理解していないという状況で、それでも売るにはどうしたらいいか。ここだけはなんかビジネスものっぽかった。
ある意味カウカウファイナンスが金融業者としてちゃんと利用されている希有な展開でもあるかもしれないですね。
結局、儲かるのはビジネスピラミッドの上に座っているもののみ、という現実は待っていますが。
そして無茶をする馬鹿には勝てない。
「リスクを取っていかなきゃ!」とか言ってたら「そもそもリスク計算なんてものをしてないやつが最強」みたいになってしまったようななんかなんともいえない気持ち。
沢村はイチから出直しENDみたいな感じだったけれど、この経験はだいぶ生きるのではないでしょうかね。
しかし田舎で野菜育てるの好きだなみんな…
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映画はだいぶマイルドになってるなあっておもいました。