後編は実際に「ロクヨン」事件を模倣したと思われる事件が発生し、一気に刑事ドラマっぽくなりましたね。
それして「広報官」という刑事ではない三上の立ち位置から見ることで、違った視点に映るのが新鮮で面白いところ。
「ロクヨン」事件の模倣犯?
7日間しかなかった昭和64年に発生した、少女誘拐殺人事件。未解決となっているその事件からちょうど14年となった平成14年の1月に、「ロクヨン」を模倣したと思われる事件が発生。
後編は、この発生した事件を追っていく県警の刑事部、その対応に振り回される三上たち広報室、荒れるマスコミ…という混沌とした状況からのスタート。
刑事ドラマであれば被害者や犯人、刑事達の推理などに沿った視点で謎解きをメインとしていくところなのですが、三上の立ち位置は広報官というもので、警察とマスコミのパイプ役。事件の解決に向けて尽力するというより、マスコミに渡す情報を取ってくるために刑事たちを追っていく…というような状況で、またこの内輪もめ厄介な…と思わずにはいられないです。
思えば前編、刑事部と警務部とマスコミが揉めてるだけだったともいえる…
その模倣事件についても、だいたいまるっと同じところを辿っていて「なぜ今、こんだけ同じことを?」って思いながら見ていくとその事件の概要が見えてきたところで納得。そこからまた一転、事件の様子が変わってくる。
最後まで見てから思いかえせば、事情を知らなかったときの三上の台詞と、最後に三上が取った手段と結果を考えて、なんというかなんとも言えない気持ちになります。
相変わらずの警察
事件のストーリーが本編として走り始めるまでにさんざん見せられた刑事部と刑務部の軋轢、上層部の厄介具合。マスコミもたしかにうるさくて厄介で「おいおい…」って思ってたんですけど、後編ではさらにこの警察の警察っぷりがひどくなっててこりゃマスコミさんもキレますわみたいなふうに思えてきててやばい。
煙たがってるのがただの嫌がらせなのかなんなのかこれは。流石にあの会見はあかんやつでしょう…
また県警上層部の事件への態度として、そりゃ警察も組織ですから、一つの事件は一つの事件としてある意味客観的に処理していかなければいけないところはあって、それだけに全力、とまではいかないでしょうしいろいろあるでしょうとは思いますが。流石にそれは事件に対して他人事すぎるでしょうっていうこれだったり、確かにあれで引っ張ってくるのは無理筋でしょう…けど、そもそも厄介がっているのはそこじゃないよね? みたいなそれだったり。
そして現場を、事件のほうを向いて考えると当然そういった上と衝突する羽目になるということになり、必然的にいきのこれないというこの構図…
この物語はフィクションであると信じています。上の連中は厄介クズみたいに書かれるのはお約束でもありますしね。
被害者の執念
またこの事件でほんとにすごいと思ったのが「ロクヨン」事件の被害者、雨宮の執念。雨宮はこの14年何をしていたのか。ほんとこれは執念としか言えない…
そしてその執念をもってしても、鬼となることはなかったか。その行動と結末は、なんといいますか、犠牲を望んでいたわけじゃないけどやりきれないものもある。
しかし、そのやりきれなさも、一連の事件の最後には救われたのだろうか、というふうに感じるところもありました。
ラストは原作とは違うものらしいということで、原作は未読なのでどう違うかはわからないのですが、この結末は三上や雨宮たち「ロクヨン」当時の事件関係者の救いになったのでしょうか。
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