幼い頃に片目片足を失くし、妖怪たちの「知恵の神」となった岩永琴子とその恋人(?)で不死身の青年、桜川九郎の事件解決シリーズ17巻。ジャンルは推理…ではあるけど大きな事件から小さな難題まで、さらに幽霊妖怪使い放題で絡んでくるなかで一般人が納得する結末に導かないといけない、推理による事件解決がパズルを解くようなものならこのシリーズはうまく解けるパズルをどう作るか、作ったパズルをどう相手に解かせるかが話の肝であり面白さになってるように思います。
さてしかし今回は表紙からイケメンなんだが…このシリーズ初じゃないですか、九郎先輩以外で男の人が表紙にいるの…(よく考えたらメインキャラクターで男性いないなそもそも…)
江戸時代の剣客、白倉半兵衛と当時噂されていた雪女との秘密を解き明かすことが今回のお話。無偏流の秘剣「しずり雪」の完成と、その後の白倉家に雪女がどう関係しているのか。白倉家の末裔である静也から持ち込まれたこの依頼、江戸時代当時の剣客と怪異が絡んだ浪漫もさることながら、それを現代の視点から解釈していくところもまた面白いです。
そして当時を知る雪女さんの再登場。こういうとき、人間と妖怪の時間は違うなぁ…って思いますね。(でも別の個体みたいですが…現代の雪女さんに名前はつかないのかなあ。怪異としてまとめられちゃってる扱いなんだろうか)
不可思議な事件にホンモノが絡んできているのは虚構推理いつものことではあるけど、第三者視点から過去の逸話として語られ、さらに怪異当人からも別の真相を語られると、人の理では説明できないことがあるのだなと考える気持ちになりますね…
しかし現代の雪女さんはもうこれ新婚さんですね…どうぞお幸せに。
そして「岩永琴子の逆襲と破滅」九郎のエピローグは巻の先頭に。六花さんと対話しているけれど、九郎の独白に近いようには感じました。なるほど、この話をしてしまうと「第一部・完」って感じになりますね…でも九郎先輩が「どうしたいか」ははぐらかされているようにも思えるし、もう岩永とずっと一緒にいることを決めているようにも聞こえるし。迷っているようには見えないから答えは出ているんだろうとは思います。
あと今回もデレてる…デレてるがそれ恋人に対するやつか…?って疑問のわく惚気け方でもある。やっぱり保護者か…?