IBMのPC事業への参入から始まり、今巻もまた激変するApple社とジョブズの環境。
(「スティーブズ」5巻より)
個人的にはスコッティさん回やな…
マイク・スコットという男
ガレージのベンチャーだったApple社に「会社」としてのシステムを叩き込んだ男、マイク・スコット。通称スコッティ。
(「スティーブズ」5巻より)
つよい。
(「スティーブズ」5巻より)
負けてない。
放蕩息子のジョブズに頑固親父のスコッティ。この二人の関係性が凝縮され、「血の水曜日」を経てその先に向かう巻でもあった。
ガレージから3年、急成長を遂げるApple。しかしその内部のごたごたもどんどん積み重なっていくし、ジョブズは好き放題やってるし…今までメインフレーム(業務用の大型コンピューター)を扱っていただけのIBMも、Appleと同じパーソナルコンピューター事業に参入してくるし…と頭の痛いネタばかり。
そんな中、Appleのこれからを考え、後に「血の水曜日」と呼ばれる大量解雇を行うスコッティ。ここからジョブズを待ち、そしてそこから迎える結末はやはり心に響く。
そうか…そうなってしまうのか…というのが、会社の形としては正しいのだろうかと思いつつも、やはり寂しい。
「スティーブズ」は演出はマンガ的だけど内容は事実を基にしているから、結構簡単に人が去っていくんですよね。アメリカはどうこうというのではなく、ビジネスというか会社というかは結構そんなもんな感じでもあります。
動き出す青の巨人
(「スティーブズ」5巻より)
そしてついにIBMがPC(パーソナルコンピューター)市場へ手を伸ばしてくる。
(「スティーブズ」5巻より)
この尊大さがIBMである。
(「スティーブズ」5巻より)
当然、一枚噛んでるゲイツくん。
このプロジェクトが後にどう世界に影響を与えていくのか…というのはPC/AT互換機のマシンにWindowsを乗せたやつでこれを書いてる時点でもうね、というところもあるのですが、一応今はそっとしておきましょう。
しかしこう思うと、Appleはソフトもハードも持ってしまっているから、ソフト面ではゲイツくんと、ハード面ではIBMと戦うことになって「敵の敵は味方」みたいな状況まで生んでしまったわけですよね…IBMとゲイツくん(=マイクロソフト)の動きも絡んでくると、パーソナルコンピューター史上でAppleが果たしてしまった役割の大きさを改めて感じていくことになるのでしょう。
それはそれとしてそのIBMに
「ようこそIBM♡」
と煽っていくスタイルがジョブズ流。
あいつのやってる無茶っぷり、マンガの演出かと思ったらけっこうマジだから困る。
Macintoshの存在
(「スティーブズ」5巻より)
そしてついに、個人的になじみ深い名前が本格的に出てきます。Macintosh。
今でも「Mac」という略称がApple製のパソコンに名づけられていますが、その大元となるマシン。
私がAppleのマシンを初めて触ったときにはもうMachintoshの時代で、OSも9くらいだった気がしますから、劇中の時代からはだいぶ後ですが。(爆弾マークのことはよく覚えていますよ…(震え声
その設計を一目見て惚れ込み、プロジェクトに介入していくジョブズ。それを待ち構えるラスキン。「俺の考えたGUIは最高。それを動かせるのはMacintoshだけ。だからMacintoshは俺のためにある!」というジャイアンでもそこまで言わない三段論法で殴り込みをかけるジョブズはいつものジョブズなんですがラスキンもラスキンで偏屈な天才そのままの勢いで「GUIなど要らぬ!」みたいな殴り合い。
Macintoshプロジェクトは社内では、このジェフ・ラスキンの個人プロジェクトみたいな扱いになっていたようで、だからMacintoshもGUIなんて考えていなくて (むしろ否定的なところまである)、思想的にはCUI(キャラクター・ユーザー・インターフェース、文字を入力して操作するやつ)ベースのそれを追求したようなものだったんだろうかなあって思うとガワだけもってったジョブズはまさに外道である。
このエピソードでは、もうApple社内のすべてをジョブズが把握できてないところまで大きくなってるんだなあという気持ちにもなりますけど、なんかジョブズ以外は全員知ってたみたいなふうでもあるんでやっぱりジョブズはジョブズだからかもしれん。興味ないことは全く知らなさそう。
こうしてどんどん移り変わっていくApple社とジョブズたち。企業の成長は変化でもあり、出会いと別れも避けては通れないですね。これからIBMも本気を出してくるわけで、まだまだ変わっていく黎明期のパソコン業界。ラストの引きはなかなか衝撃的でしたけど、どうなっていくのか…
それはそれとしてダン・コトケは癒し。「グッ」じゃねーよwww
(「スティーブズ」5巻より)