水の都の地下迷宮を巡るゴブリンスレイヤー一行とゴブリン集団の激しい死闘。そこに慈悲はあるのか。
ストイックすぎるゴブリンスレイヤーさんが背中で語っているようなところが格好良い。
ゴブリン殺すべし
相変わらずの勢いでゴブリンを殺して殺すゴブリンスレイヤーではあるけれど、これでもかとゴブリンの醜悪さが強調されていた前巻に比べて、今巻は結構冒険っぽいところもあり…まあ、敵はほぼゴブリンなんですが。
ゴブリンはどこにでもいる。一匹見たら三十匹。その場所も場所だしもう完全に害虫駆除隊なんだね。
しかもこれが壮大な陰謀…かと思いきや、というところがまたゴブリンスレイヤーらしい。なんというかまあ。
そしてその数に任せて殴りかかってくる小鬼共を知恵と力と勇気で打ち払っていく…というと聞こえはいいのですけどその実用意周到に泥臭く、機転と力業で切り抜けていく。
それがまたハラハラ感が強まるところですけどね。どうすんだこれっていう状況からの…どうすんだこれ!
パーティでの活躍
ずっと一匹狼だったゴブリンスレイヤーさんですが女神官、妖精弓手(エルフさん)、鉱人道士(ドワーフさん)、蜥蜴僧侶(リザードマンさん)が仲間に加わってのパーティで冒険。
ゴブリンを探して殺すというスタイルにブレはないんですが、パーティでの冒険はどことなく楽しそうなところがあるようなないような感じもしてほっこりしますね。
とってもゴブリンスレイヤーさん基本的に自分から話はせず鉄仮面被りっぱなしだしではっきりとわからないんですが、邪険にしていなかったり連携取れていたりとかするのを見ると、まんざらでもない感じです。
また今回のようなところは、ゴブリンスレイヤー一人だとかなり危なかった…といって聞くような男でもないから、仲間がいなかったらきっとやばいところだったんだろうなというのはあります。なんとかしてしまいそうな気もするけど。
剣の乙女の祈り
…というかですね。どうして国もこのゴブリンを軽く見て放置できるのか。
知能を持って理性がなく、人型で集団を組む魔物。超厄介でしょうこれ。
そりゃ辺境の森とかにいるならまだしも…
冒険者の間でもゴブリン退治は下に見られているということでしたし、剣の乙女がゴブリンスレイヤーさんに頼りたくなるのもわかるのかもしれません。
…まあでも、頼るというより、まあ。
ゴブスレさんも状況だけ見てるとハーレム系ラノベ主人公っぽいところなんですがいかんせん本人が鈍感というよりストイックというよりゴブリン殺し馬鹿という有様であるうえにこの殺伐とした世界を生きるラノベであるからむしろ周囲の女の子を応援したくなる気持ちでいっぱいになるところまである。いやほんとに。間に合わなくなるまえに間に合って欲しい。
どこでサイコロの目が狂ってデッドエンドになるかもわからない。恐ろしいラノベです。今回ちょっと駄目かと思いました。
でも最後、そのストイックさに剣の乙女は救われたんだろうか。どこにでも現れ、ゴブリンを殺し去っていく彼に。