小気味よいテンポの会話と勢いだらけの展開で読んでる方も一気に最後まで勢いで読み切りふぅ~~という一息をつくような物語。
マヒロ王子は最高にイカしてるしイカれてる。
だいぶ古い作品(2007年)なのですが全部積んでたわけではなくて少し前に出たものを保留してたので手をつけてみたところこれは第二部から読まないと状況が思い出せない…(何 という事態に陥り第二部から読み始めたところこれは第一部から読まないと(以下略 という状況に陥りまさに蛇に絡め取られるがごとくの有様だよ!
さっくさく読めていくんでいいんですけどねー
著者作品に共通する世界観
さてこのお話は北を人魔平等のゼピルム共和国、南を魔人至上主義のグランマーセナルに挟まれた、中原に位置する小国ミスマルカを舞台に、その王子であるマヒロとお守り役近衛騎士パウエルが活躍する話ではあります。
設定的にはハイファンタジー風味で人外の力を振るう魔人という種族や魔法、魔剣の類。世界はおそらく現代世界が一度滅んだ後でその頃の名残が旧文明として発掘される、その旧文明とは同作者の「お・り・が・み」や「戦闘城塞マスラオ」「レイセン」から続いていると思われるとても俺好みの設定。
魔人やアウター(完全に人外)は寿命も長く、上記作品の登場人物が登場してきたりすることもあり、他作品を知っているとより楽しめるところも。
バカ殿なのか策士なのか
それでこのミスマルカ、そんなファンタジー世界でアホでスケベなマヒロ王子がバカをやってお供のパリエルやメイド長のエーデルワイスにお仕置きされる話…であれば平和だったんだけども、南のグランマーセナル帝国にがっつり侵攻されてきたりもしてあまり平和とは言いがたい状況。
進撃するは帝国第三皇女、「光輝の剣」、文字通り一騎当千の魔人であるルナス・ヴィクトーラ・マジスティア。
普通に考えたら戦力的な意味で完全にヤバイような状況であっても、マヒロ王子のやらかしているやつ的に全然重い雰囲気にならずに事態は最後まで進んでいきます。
そういった脳天気なところも含めて最後まで行き着いてからため息しかでないという素晴らしさ。おいおいこいつマジかよという言葉しか無い。
マヒロ王子は完全にバカ殿の役回りでアホでスケベなのはおそらく本性だと思われるんですがこの状況を完全にコントロールして収めてみせているところもまた本物。
隙あらばメイドさん
そしてここまでファンタジーが整っていながら最強VS最強みたいな力のぶつかり合いがメインではなくひ弱な王子がむしろそれを完全に食ってるところが作品の方向性を示しています。
隙あらばメイドが出てくるのもわかっておられる。
(この世界でのメイドはただの家政婦ではなく、近衛兵の後に控える最後の刃でもあるのです。流石メイドさんだぜ!)
結構先まで一度読んでしまっているので、思い出してくるとオチを知ってはいるんですが読んでいるときはそれを思い出す暇も無い転がるようなテンポと展開で続刊に手をつけていきます。