表紙のとおり、ある意味パリエル回ではあるんですがいいのかここまで血なまぐさくて。
全体的にシリアス回。そして二部ラストへ向けての布石でもある回。
激化する戦場
ヘリオト家の子息暗殺に端を発するヘリオト公VSヴェロニカ商工同盟の争いは連合VS帝国の代理戦争じみた規模に発展していき、双方ともに退けぬ構えに。
外交としての戦争ではなくて面子と感情でスタートしているため、ヘリオト側はヴェロニカを落とさなければ収まりが付かず、他方ヴェロニカも中立独立を守らなければ何がヴェロニカかという気風。
話し合いでの解決の席を持てず、連合も帝国も戦力を送り込み完全に負けられない戦い。
思えばこのシリーズ上、戦力と戦力が衝突したの初めてじゃないだろうか。ミスマルカが落ちたときの会戦は新型魔法で一気だったし。
獅子奮迅の英雄
もう「英雄は戦場でこそ輝く」を地で行くようなパリエル。たくましくなったというよりヤバイ命の張り方がマヒロから伝染ったんじゃないのこれ。そしてこの容赦なさ。脳筋具合。大丈夫? スニーカー文庫の美少女姫剣士だよ?
超腕の立つチンピラみたいな立ち位置で諸国漫遊してた頃が懐かしい…(それもどうなんだ)
これが成長なのか覚醒なのかはもうわからんところありますけどそりゃー傭兵連中には大人気でしょうこれ。
剣の腕も、傭兵達から見てすらレイナーと差が見えないレベルになっているというのはだいぶ強い。それをもっての一騎駆け(常にレイナーは居たけど)とか敵将とのタイマンとかやっていることが最前線のヒーローすぎる。
今回は主にパリエル視点、解放軍視点での戦況描写になっていて、マヒロと別れたことでダブル主人公みたいな立ち位置になっているところある気がします。
帝国側はマヒロの、連合側はパリエルの視点になって、どちらの状況もよくわかるという隙のなさ。
策略の一手
そして「話し合い」の場になったらマヒロ王子の独壇場でもあります。この状況からヴェロニカを一撃で沈めるという策をもって交渉に臨むマヒロたち。
このブレのなさ。「帝国」というカードを切ることを許されたマヒロのブレのなさ。
そしてそもそもの発端のヘリオト公太子暗殺についてからキナくさい話しかなかったわけで。帝国宰相にエーデルワイス、その思うところはどこにあったのか。
こっからあのラストになるのはもうこれどうするんだという感じで次巻、第二部完らしいですよ。
また唐突な流れに思うんですが、この感覚、アリスの地域制圧ゲーやってるときの「げぇっ! そっち間に合わなかったのかよ!?」っていうそれに似てるわー