今夏の参議院議員選挙に表現規制、TPP問題などで創作物を、創作するということを守るために尽力してくださった山田太郎議員が出馬されております。
全国比例ですので全国どこからでも投票できます!
【拡散希望】本日から不在者投票が始まりました。投票についてと良くある勘違いについてまとめました。全国比例代表は個人名で「山田太郎」とお願いします。 pic.twitter.com/C2NXJEQomN
— 参議院議員山田太郎(全国比例)日ペ23a (@yamadataro43) 2016年6月23日
少し前に、私が評価している点をブログに書きました。
こちらのブログではあまり政治的なことは書かないようにしているのですが、こと表現規制に関しては本ブログのテーマとしても見過ごすわけにはいかない。
そういうわけで山田太郎議員の果たしてきた仕事の軌跡と、これから迫る表現規制の脅威について書いておきます。
- 児童ポルノ禁止法に紛れ込んだ創作物弾圧の危機を回避
- TPPによる非親告罪化からなるコミケ壊滅の阻止
- 国連からの筋違いな圧力に毅然と反論
- 「表現の自由」を抑制する自民党憲法草案を批判
- 「青少年健全育成基本法」の闇
- さいごに
児童ポルノ禁止法に紛れ込んだ創作物弾圧の危機を回避
2014年、児童ポルノ禁止法が改正されるときに、附則第二条として出された条文がありました。
二 検討
1 政府は、児童ポルノに類する漫画等(漫画、アニメ、CG、疑似児童ポルノ等をいう。)と児童の権利を侵害する行為との関連性に関する調査研究を推進するとともに、インターネットによる児童ポルノに係る情報の閲覧の制限に関する技術の開発の促進について十分な配慮をするものとすること。(附則第二条第一項関係)
2 児童ポルノに類する漫画等の規制及びインターネットによる児童ポルノに係る情報の閲覧の制限については、この法律の施行後三年を目処として、1の調査研究及び技術の開発の状況等を勘案しつつ検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとすること。(附則第二条第二項関係)
(表現の自由を大幅に規制する法案に反対 | 参議院議員 山田太郎 公式webサイト 資料より引用)
要するにアニメや漫画が悪影響を及ぼしているかを調査し、その結果を持って対処(つまり法律で取り締まる)とするということが書かれています。そんなものあるわけないから無いということが証明されていいじゃん、って思うかも知れませんが、そもそも無いものを無いと証明することはできない。一方、「影響があるのではないか」といったこじつけはいくらでもできる。(例えば、「犯罪者は全員が全員水を飲んだことがあるから、水が思考に有害な影響を与えていることは明らかである」ということも言えるんですよね。理屈の上では。)
つまり「三年後に取り締まるよ」という出来レースなんだね。
山田太郎議員はこの項目について発見、批判し、結果としてこれは改正案から削除されることとなりました。
そしてさらに、
政府は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。
一 児童を性的搾取及び性的虐待から守るという法律の趣旨を踏まえた運用を行うこと。
二 第七条第一項の罪の適用に当たっては、同項には捜査権の濫用を防止する趣旨も含まれていることを充分に踏まえて対応すること。
三 第十六条の三に定める電気通信役務を提供する事業者に対する捜査機関からの協力依頼については、当該事業者が萎縮することのないよう、配慮すること
(児童ポルノ禁止法の改正案に対する附帯決議を公開します | 参議院議員 山田太郎 公式webサイト 附帯決議より引用)
という附帯決議を追加することで、実在児童を守るように(創作物の規制に向かないように)、捜査権を濫用しないようにという釘をさしました。
最後にだめ押しで、「マンガ、アニメなどと性的被害の因果関係を調査しますか?」という質問を行い、「政府としてそれをするつもりはない」という回答を得て、この問題に終止符を打ちます。
○山田太郎君
これ、内閣府の方なのか官房の方なのか分からないですけれども、政府全体として、漫画とアニメの性被害の調査について今までに行った事実があるのか、今後も行う予定があるのか、この辺り、内閣府だと思いますが、お答えください。
○副大臣(岡田広君)
お答えいたします。
児童ポルノの蔓延防止を食い止め、排除を進めていくため、現行法に基づいた総合的な対策として、昨年の五月に第二次児童ポルノ排除総合対策を策定し、国民、事業者、関係団体等の連携の下、各府省において施策を推進しているところでありますけれども、この第二次児童ポルノ排除総合対策に係る関係省庁の施策として、山田委員御指摘のような調査研究が実施されたとは承知をしておりません。
また、現時点において、関係省庁において御指摘の調査研究を実施する予定があるとは承知しておりません。
以上です。
(児童ポルノ禁止法の法務委員会における議事録(未定稿) | 参議院議員 山田太郎 公式webサイト より)
この一連のやりとりで、創作物が児童ポルノ呼ばわりされ、蹂躙される可能性をひとつ無くすことができたのです。
TPPによる非親告罪化からなるコミケ壊滅の阻止
TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)とは、国を超えての共通ルールを作ることで取引をしやすくしようという発想ですが、各国によって利害もルールも様々で、ものすごく難航しています。
その中の一つに著作権の扱いがあり、主にアメリカから求められていたものは
・保護期間を70年に延長
・非親告罪化
・法廷賠償金の制定
でした。
非親告罪化が何を意味するか。つまりですね、現在「グレーゾーン」という名前で活発にやりとりされている同人業界の二次創作、これは著作権者のお目こぼしで成り立っているのですよね。それが権利者を介さずに警察が逮捕することができるようになる。
何が出来るようになるか。気に入らないサークルを通報して逮捕してもらうことができるようになります。
法廷賠償金(実際の被害ではなく、裁判所が命じた額を払わせる制度。懲罰的に高額が命じられることもある)とあわせればこうかはばつぐんだ!
これがまかり通ることで何が起こるかなんて、粘着アンチにサークルが潰されるという事態が容易に想像できます。そしてそれが広まれば、始めようと思う人もいなくなる。
営利活動だけの話ではありませんよ。ファンアートもグレーですからね。Pixivなどのプラットフォームに、法令順守の義務や責任などについて問うというやり方も出来るかも知れません。
同人誌は二次創作だけではなく、オリジナルも豊富にありますが、やはりジャンルとして大きい二次創作の土壌がまるごとしぼんでしまっては、そこから先の未来に暗い影を落としたことでしょう。
こちらについても山田太郎議員は動いてくださり、結果として「非親告罪で取り締まるのは海賊版のみ」となりました。グレーゾーンの話とは別に海賊版問題はあり、もともと非親告罪の目的は海賊版問題のほうだったので、ある意味落ち着くところに落ち着いた、という感じです。
TPPによる日本国内の著作権法の変更について | 参議院議員 山田太郎 公式webサイト
この一連のやりとりでコミケとか二次創作とかいう単語が公式に飛び交うようになって「二次創作に配慮すること」みたいなふうにもなってこの国…みたいな気持ちにもなりましたがそれはそれとして。
余談ですがこの非親告罪化については、漫画家の赤松健氏も「同人マーク」というものを提唱することで対応をしようとしてくださっていました。
結果的には同人マークの出番はなかったのですが、場合によってはこの試みが救いとなったことでしょう。
国連からの筋違いな圧力に毅然と反論
「日本の女学生の30%は売春をしている(後に13%に訂正)」というすごい発言をしてきた国連報告者のブキッキオ氏。それはないでしょ根拠出して、という反論をきちんと外務省に促してきたのが山田太郎議員です。
30%援交発言の衝撃!ブキッキオさんの件の顛末(前編)【第72回山田太郎ボイス】 | 参議院議員 山田太郎 公式webサイト
30%いうたら3人に1人、13%でも7、8人に1人くらいの割合ですよ…どういうことだってばよ…
また、「国連女子差別撤廃委員会」からの創作物規制の圧力についても、「実在しない児童を描写したものについては国際法上義務を負っていない」という閣議決定を先回りして獲得。
これによって日本政府はきちんと反論をし、外圧に負けず創作物を守ることに繋がりました。
この回答をね、先回りして引き出し準備しておくというのがほんとつよい。
そしてこの件はこれだけでは終わらず、これらを詰めていく過程で日本に児童虐待を扱う省庁がどこにもなかったという事実に行き当たり、そのための庁を作ってもらうための働きかけを始めています。
首相へ子ども庁を提案、官邸に要望書を提出しました【第80回山田太郎ボイス】 | 参議院議員 山田太郎 公式webサイト
「表現の自由」を抑制する自民党憲法草案を批判
自民党の憲法草案では、表現の自由に制限が付きます。他人に迷惑をかけない、個人の楽しみであっても「公益を害する」「公の秩序を害する」と判断されれば、憲法違反になります。
— 参議院議員山田太郎(全国比例)日ペ23a (@yamadataro43) 2016年6月28日
表現をすること自体は自由でなければなりません。 pic.twitter.com/7yVDKnOaXd
自民党は表現規制の推進に熱心な党でして、改憲草案にも当然それが反映されています。それについてはきっちり批判する立場を取っています。
これについては、「アニメやマンガが公の秩序を害する…?」みたいな感じでピンとこないかもしれませんね。創作物方面としては、「けしからん」とどこかの大人に言われるアニメやマンガの類いが問答無用で検閲される危険性が格段に高まることでしょう。
ですがこれの本質はおそらくそこではありません。「表現の自由」とはアニメやマンガだけの話ではなく、言論の自由や集会、結社の自由なども含まれています。
それらを「公益」「公の秩序」を理由に取り締まるということ、それを政府与党が提唱していることの意味については、少し考えないといけないと思います。
「青少年健全育成基本法」の闇
これについては、これからの話。
今、「子ども・若者育成支援推進法」という法律を「青少年健全育成基本法」というものに改正…いやすげ替えようとする動きがあるようです。
山田太郎議員による青少年健全育成基本法(≒二次元規制につながる法律)の条文解説 : 二次元規制問題の備忘録
もともとの法は、非行防止、貧困対策が主だったようなのですが、それを若者に有害なものを取り締まるためのものに改造しようとしているとのこと。
どうして改正案として出してくるかというと、既存の法律を改正したほうが特急で承認されやすいからだろうということです。
本当に醜悪で手段を選ばない、クソみたいな話ですが…これに気がつき、歯止めを掛けているのが山田太郎議員です。
さいごに
というわけで表現の自由、創作物に関わりそうなところをまとめてみました。
表現規制に関しては、氏の著作「表現の自由の守り方」が大変詳しい、というか当事者がだいたい書いてるというまとまりっぷりですので、そちらも是非ご覧になって下さい。
また山田太郎氏のプロフィール、その他の制作については公式サイトを是非。
毎週水曜日にはご本人がニコニコ生放送までやっています。さらに選挙期間は連日放送中!
ついで「表現の自由を守る党」のサポーターにも是非!
山田太郎議員の活動は、表現の自由ばかりではないので、どんな人? と興味を持たれたら、上のサイトも覗いてみてください。
今回から18歳以上に選挙権が与えられると言うことで有権者も拡大、今回が初めての選挙という方も多いのではないかと思います。
今回の選挙では改憲の是非、アベノミクスと呼ばれた経済政策に対するジャッジが一般的な焦点かもしれません。
でもその影に隠れたところでは、きっとそれ以外にもいろいろあると思います。この表現規制問題もその一つです。
オタクだから投票しろ、なんてことは言いません。
人によって、選挙で大切に考える点はもちろん違うと思います。
ただ山田太郎議員がこれまで進めてくれてきたこと、これから進めていこうとしてくれていることを知って欲しいと思い、まとめてみました。
「表現の自由」というのは、その下にいろいろぶら下がっていて、言論の自由、集会、結社の自由などもそれに含まれます。最初にわかりやすく弾圧されるのは創作物ですが、アニメやマンガだけの話ではないのです。
そういう理由もあってか、「表現の自由を守る」という立ち位置をとってくれている党もあります。
しかし明確に「アニメ、マンガなどのファンに向けて」というメッセージを発信し、創作物の表現規制反対にこだわり、これだけの結果を残してくださった議員さんは希有だと思うのです。
私は創作の可能性を殺したくないと思っています。
だからこの記事が、アニメやマンガ、ゲームなど創作物が好きな方に、一票を投じる際の判断材料として参考にしていただければ幸いです。
また、まだ選挙権を与えられていない方も、いずれはその一票で誰かを選ぶことになるときが来ます。
そのときのための予備知識として、この議員さんのことを知っておいてもらえると嬉しいです。
(2016/7/16追記)
夏の参議院議員選挙も終わりましたね。
この記事を読んで下さった方、山田氏を応援してくださった方、ありがとうございました。
残念ながら結果として、山田候補は落選してしまいました…でも落選候補の中、比例個人最多得票の29万票で! どんな顔すればいいんだこれ…
今まで「表現規制反対は票にならない」と言われてきたことに対する、若年層、創作物のファンの層の存在感を少しは出すことができた結果でもあるのかなと思います。
これが希望となるかどうかは分かりませんが、創作物が規制されない、表現の自由が守られた世界になっていくといいと思います。