読んでる最中もま た ホ モ か とかゴキゲン振り飛車マエストロ超かっけー! とか籠球部なら入ってたとかとかいろいろと感想は浮かんでいたんですが。
終盤の桂香さんの対局に圧倒され読後はもうそれしかなかった。そんな巻です。
挑戦できるリミット
清滝桂香、25歳。女流棋士になるために研修会に在籍できるのは、27歳まで。
現在はC2という階級で、リミットまでにC1に昇級しなければなりません…というのに、B(降級点)がついてしまう。
そして昇級と降級については次のような規定があるようで、まずBを消さないといけない…3勝3敗以上の成績にならないといけない、ということですね…
昇級規定
- A・Bクラスへ
- 8連勝・12勝4敗・14勝5敗・16勝6敗・18勝7敗
- C・D・Eクラスへ
- 6連勝・9勝3敗・11勝4敗・13勝5敗・15勝6敗
- F1クラスへ
- 5連勝・7勝3敗・9勝4敗
- F2クラスへ
- 3勝3敗
- 降級規定
- 2勝8敗の成績を取った者には同クラスの降級点がつく(B)。
- 降級点は3勝3敗以上の成績で消える(A)。
- 降級点を取った場合は、降級点を消してからでないと昇級できない。
- また、降級点がついたまま2勝8敗の成績を取ると降級となる。
(規定は関西将棋会館のリンクを辿ったところから引用しました。そのページには個人の成績もあったので直接リンクはしません。あと、○勝○敗の判定って、最後の対局から逆に数えて、でいいんだろうか)
6連勝すれば昇級できるリーチ状態…ではあるけれど、降級のほうにもリーチが掛かってしまい…そのチャンスである対局は二週間に1回、1日4局。
桂香さんの年齢(25歳と7ヶ月)から計算すると、残されているのは1年半、約160局を切っている。
素人目に見たらチャンスは充分ありそう…なんだけど、もう7年も研修会から抜け出せてなくて。ここでC2からD1に降級することになったら、2回昇級しないといけないことになる。
昇級条件は最短で6連勝の6局、最長で15勝6敗の21局。
何かの試験の結果…とかじゃなくて、連続した白星と黒星のカウントということになると、なかなか厄介そうですね…
まあでもずば抜けた実力があれば6連勝でいいじゃん? って思うじゃん?
でも、ここがこのシリーズの特徴でもある気がするんですが、誰も彼も結構負けてる。負けるときは負ける。
ほんとに負ける…まあほら、主人公からして絶賛スランプでスタートしてますからね…
将棋は麻雀のように「運」に左右される要素がないゲームだと思います。そして誰も彼もが昨日の自分よりも、努力した時間を積み上げて鎬を削っている。
そんな棋士達がひしめいている中での6連勝…それはもうハードル高すぎなんじゃないの…?
「好き」と才能
桂香さんってこの巻を読むまで、なんとなく女流棋士を目指して研修会にいるゆるくてふわっとしたお姉さんポジだと思っていたところがあって大変謝罪したい。
…いや、だいたいあってた気はしないでもないんですよ。親が将棋のプロで、平凡な社会に出るのが嫌で、22歳くらいには女流棋士になっちゃってるんじゃないかなーみたいな感じで続けてみてたら戻れないところに来てしまっていて…(震え
もうね…もうさ、別に将棋の話だけじゃないんだけどほんまつらい。
「将棋が好き」というのはそうなんだと思うのですが、命を懸けてるかというとそこまでではない。まあそれはそうですよ普通。俺だって命懸けて仕事選んでないですもん。なんとなくプログラムやコンピューターが好きで、できることをやっているうちにここにいる感じですもん。
そして桂香さんが上ったその土俵で、周りの人達はどんどん先に進んでいく。
最速最年少の竜王位でしょ、中学生女流棋士タイトルホルダーでしょ、圧倒的才能を開花させていく女子小学生でしょ…
才能…才能な。才能ってなんやろな。
でもじゃあ、努力は無駄なのかというとそれも違って。結局、桂香さんがどこまで本気だったのか、というのが問われていることでもありました。
それは「才能」という何かは関係がなく。劇中でとんでもない才能のカタマリであるように描かれている、八一やあい達もそれを必死で磨いているから先に進める。
積み上げた才能と努力が、求められている規定値に届いたのかどうか。そういうレースをずっとやってる。
(努力と才能、という軸で見たとき、山刀伐さんを応援したい気持ちのほうが強かったですね。というかね、納得いかないところまである。)
正直なところな、将棋とか資格やタイトルがないと打てないわけではないじゃないですか。だから「好き」なだけなら、趣味でやるのが幸せなんじゃないかというのはずっと頭のどこかにありました。
でも、もしそれが好きなら、それをやるしかないというのも同時に思います。
将棋に限った話でもないですね。この矛盾した気持ちは。
「才能」よりも大切なもの
才能の話では、八一が対局後に生石先生に語った、才能よりも大事なもの。
あれに比べたら…才能がどうとか努力がどうとか、小さい話なのかもしれない。
結局…結局、そういうことなのかもしれないし、思えばあいはずっとそれを追っていた。
最初に表紙を見たときに「ん?」って二度見したんですが、読み終わってから見るとほんとにね。ほんとに。
でもさ…改めて振り返ると、いちばんきっついの姉弟子なんじゃないのっていうのあるよね…
つるつるなのはポイント高いよ! がんばろう!