第十六世名人、神宮寺会長の若き日の激闘を描いた「3月のライオン」のスピンオフ作品。絵柄違いすぎるんだけど納得の熱量…!
昭和44年、灼熱の時代
戦争の傷跡も色濃く残る昭和44年の東京を舞台に、スランプからの復活を賭けた勝負に挑むは神宮寺崇徳。
後の第十六世名人となるこの男の、将棋指しとしての熱い戦いが繰り広げられていくのがこの作品です。
(「3月のライオン昭和異聞 灼熱の時代」より)
before。
(「3月のライオン昭和異聞 灼熱の時代」より)
after。
あんまかわってないかもわからんな…
「3月のライオン」より以前の時代を舞台にしていることもあり、そちらの作品を知っているとなかなか感慨深かったりもしますが
(「3月のライオン昭和異聞 灼熱の時代」より)
before
(「3月のライオン昭和異聞 灼熱の時代」より)
after
朔ちゃん…
うん…朔ちゃんはこの頃から振り回されてる感もあってやっぱかわらん…
まあメガネ男子の朔ちゃんが見れるのはスピンオフだけ! ということで…
この濃ゆい筆力強いけれど時には静かな風情と迫力を感じる絵柄がまた、昭和の熱い将棋指しにすごくマッチしていていいですね。
むしろスピンオフ元の「3月のライオン」からは(表紙だけ見ていると)あんまり想像できないところまでありますが内容知ってるとむしろ納得といいますか。というか向こうこそ、あんなにおっさんどもがバチバチやりあってる漫画だとは思わなかったところまである。いいぞもっとやれ。
その神宮寺の周りの人達も、応援してくれる未亡人母子の香織と留美、下宿のおじさんとおばさんなど昭和風情あふれる感じでノスタルジック。
神宮寺はそこで強敵のプロ棋士たちとバチバチとした戦いをやり合っていく、熱い物語になります。
並み居る強豪、昭和の化物
そして神宮寺が戦っていく棋士たちもまた、強豪揃い。
すでにプロになっている者同士の対局になるのでその迫力もひとしおです。
ストイックな「怪力」の丸藤八段、美しさを求める美崎八段、同門の兄弟子、山南八段。
将棋盤で向かい合い一対一で激しい戦いを繰り広げる面白さはもちろん、戦い終わった後にある不思議な爽やかさもまた神宮寺との勝負の魅力かもしれません。
このあたりは実に少年漫画かもしれない…
だが、その神宮寺を奈落の底にたたき落とした十五世名人、田中七郎。
チビで出っ歯で傲岸不遜、しかし将棋は出鱈目に強いという化物である。
かつて今よりヤンチャしてた神宮寺との対局の様子などもありますが、なんていうかまさに昭和の首魁…!
果たして神宮寺は、この男をどうやって乗り越えていくのか…40年後の結末は知っていたとしても、興味が尽きません。
神宮寺は道を切り開いていけるのか
そういった感じで、根っこのアツさは同じなんだけど表に見えてる熱量が半端ない雰囲気と、昭和の古く怪しく人情あふれる空気が同居している回顧録となっており、まだ20代の神宮寺がこの世界でどう戦っていくのか。
同じ下宿の未亡人、香織さんとの間柄も大変気になるところですけど。意地でも将棋に命懸けてる頃の神宮寺さん、どうしていくんやろなほんとに…
こちらを知ればあちらも面白い、スピンオフ元の作品です。よろしければ合わせてどうぞ!