士郎と美遊の出会いから、この世界での聖杯戦争に至るまでが語られる過去編。
当初はFateパロの魔法少女ものくらいの認識だったんだけど、無印を今読み返すとほんといろいろと震える…
※ここから先にはネタバレがあります。Fateシリーズはその話の展開、構成すべてに驚きと仕掛けが込められているようなもので、どうあっても感想というとネタバレになってしまうところがあるかもしれません。(おいしいところはなるべく残しておきたいとは思っていますが) 未読の方、ネタバレが気になる方はここで引き返し、迷わず本作を手に取ることおすすめします。
切嗣と士郎の旅路
Fate/Zeroに始まりFGOイベントでも様々な可能性がピックアップされていた切嗣さん。
元のプリヤ世界線では、アイリと世界中を飛び回っているという可能性でしたけれど…こちらでは士郎とともに世界を回り、まだ人類の救済を追い求めていた。
そしてその在り方を追いかけ、「正義の味方」を目指してーーでも最後には、美遊の願いを選んでしまった士郎。
士郎視点の過去編ということや、こちらの英霊召喚システムが「英霊を召喚して戦わせる」じゃなくて「自分に重ねて呼び出す」というふうになっているのもあるのかもしれないですが、stay nightよりも主人公力高い士郎がここにある。
しかも美遊のために切嗣の求めていた正義に弓引く格好にすらなっているのとか、最後の夢幻召喚の姿とかが本当アツいですねこれ。
平行世界のお姫様
今まで小出しにされてきていた、美遊という存在についての話もここに。
stay nightでのイリヤスフィールの映し鏡、いやむしろ和風の天然聖杯というところから考えるとそれを越えているポテンシャルなのかもしれない。
そして、イリヤとの対比として考えると、切嗣は美遊を道具としてしか見ていなくて、その意思を継いだはずの士郎が美遊のため全てを救うことに背を向けるというのもまた運命なのか。
「星に願いを」の話はほんと好きです。
明らかにされていく差異
…といっても、元々のイリヤの世界もパラレルワールド時空ではあるんだけど…
美遊の世界の現状、エインズワース家、その聖杯戦争の目的などが語られていくにつれ、大きくなっていく違和感がまたすごいですね。
いるはずのものがいなくて、配役も違う。桜とかその兄貴とかジュリアンとか。
そんなパラレルワールド同士がくっついて相互に作用し、ありえなかったはずのことが起こり運命が変わる。これ。
そういうあたりが、今までは断片的に見え隠れしているだけだったのが士郎の語りで説明されていくところでもあり、表紙の桜が尊い。
あと麻婆神父はアニメだったら絶対ぐるぐる回ってる。
そしてグランドオーダーの存在を知ったとき、著者の方も悶絶したに違いない…
(「Fate / kaleid liner プリズマ☆イリヤ」7巻より)
…まあ子ギルとかいるし、まあ、ねえ…?