つんどくダイアリー

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わりと好き勝手書いてるからネタバレてたらごめんね。旧「怒濤の詰ん読解消日記」。積まれてしまったマンガ、ラノベなどを読んで感想を書いています。結果として面白い本の紹介だったりまとめだったりになってる。/端末の表示によると、あと740冊/※本サイトはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています。ページ内のリンクがアフィリエイトリンクの場合があります。

「「表現の自由」の守り方」感想 表現規制問題に取り組んできた山田太郎議員奮闘の記録

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「表現の自由」の守り方 (星海社新書)

 参議院議員山田太郎氏による、表現の自由を守るために行ってきた活動のまとめとなる本。

 プロローグからディストピア小説が始まっており有害都市かという。(でもこれが作り話だと言えてるうちが平和なんですよね…)

tsundoku-diary.scriptlife.jp

 

「表現の自由」とは

 「表現の自由」とは、要するに様々なことを、検閲されたり規制されたりすることなく発表できる権利で、憲法においてて規定されています。

第二十一条  集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
○2  検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。

  (日本国憲法より)

 

 日本では少し前からマンガ・アニメ・ゲームに対する表現規制が持ち上がり、なんとかそうならないように抑えられてきました。

 本書ではそれらの動きについて、表現規制反対の中心となっていた山田太郎議員が書かれたものです。

 

 内容としては次のとおり。

・児童ポルノ禁止法による規制推進

・TPPによる著作権非親告化

・国連報告者による外圧

・軽減税率と有害図書指定

・通信の秘密

・青少年健全育成基本法と今後の話

 

 こうしてみると、ずいぶんと薄氷の上を駆け抜けてきたんだなあ…と思います。

 内容としてこれらの中心だった山田太郎氏本人が書かれているうえ、何がどうなって、どう思って、どうやってクリアしてきたか…というのが整理されていて、ドキュメンタリー的面白さまであります。

 

 また児童ポルノ禁止法から関連して、この法律がエロを潰したいという人たちの道具になるのではなく、現実の児童の保護をするために運用すること、という指針を入れたり、国連報告者のところでは、結局どこの省も児童保護を担当していないではないか、ということを詰めたり。表現規制だけでなく、現実の児童保護についての活動も、重要なところを抑えていると思います。

 児童ポルノではなく「児童虐待記録物」と呼ぶべきという話もあり、それにはとても賛成します。むしろどうしていつまでも改められないのか…

 

政治家としての立ち回り

 本書には山田議員の行ってきた活動、方法、国会での答弁などが記されていますが、やっぱりすごいなと思うのはその先手の打ち方、そして調整力。この着実にひとつづつ詰めていく姿勢。

 国会は議論の場ではなく、言質を取って詰めていく場であるというスタンスにもそれが現れているように思います。

 

 この実利を追っていくスタイルはすごく堅い。

 政治家の話というと、感情論だったりイデオロギーを追ったり、そこから発展してヤジだの言い争いだの嫌がらせだの足引っ張ったりだのでうんざりなところはあるんですが…

 信念があって、調整を繰り返して詰めていくという、政治家の仕事を見た気がします。

 また法律に対する姿勢も「法で縛るのは最後の手段」としていて、法律がなくとも、文化や風習で社会秩序が保たれているならそれでいいと。確かにこの本にある山田議員の活動は、新しい法律を作ると言うよりむしろ「作らせない」ということがメインになっているように見えます。このあたりは、元経営者という経験からのものなのでしょうか。

 政治家の仕事は法律を作ること、ではあるのですが。変な法律を作ろうとしてくるものよりも、よほど意味のある活動だと思います。

 

これは世代闘争でもあるのか?

 「はじめに」にも少し書いてあったのですが、表現規制は世代闘争の側面もあるのではと。自分たちの理解できないことで楽しんでいる若者が理解できず、法で縛らなければならないと。

 これには個人的には、こういう状況だろうなというのがすごく理解できるところがあり…逆にいうと、理解が進み風向きが変わっていくというのは、時間の問題なのかなとも思っています。

 

 問題は、そこに至るまでの時間がどれだけあるか、その前に全て潰されるんじゃないかということ。

 またイデオロギー的にエロを規制したい勢力…これは時間では解決しないので、毅然と反論していけないといけない。

 お隣の韓国の惨状については同情を禁じ得ないのですが、一歩間違うと日本もこうなっていた可能性はそれなりにあったと思います。それこそ冒頭のそれや、有害都市みたいなものが作り話ではなく。

 

 個人的な気持ちとして、そりゃ趣味の合わないものや、ちょっと本屋のそこにおいてあるのアレなんじゃないの、っていうものは確かにあります。でもそれを法や権力が規制していいかという話は全く別。

 日本は他国に比べて、今のところ表現の自由はすごく認められている、良い国だと思っています。願わくばこのまま、いやもっと国としてよい方向に進んでいってほしいと思います。

 山田太郎氏が党首をつとめる「表現の自由を守る党」もサポーター登録を募集しています。表現の自由を守りたい、創作物を守りたいという気持ちのある方、是非こちらもご覧になってください。

hyogen.jp

 

 また活動実績としては、こちらにまとめられている記事がありました。こちらも是非ご一読を。

nijigenkisei.ldblog.jp

 

 それにしても、最後の青少年健全育成基本法の話。規制派が「児童、若者向けの福祉政策をまとめたもの」の内容を「あるべき青少年の姿を押しつけ、社会秩序を維持するためのもの」に塗り替えた改正案を出してくるとか、闇深すぎるでしょう…

(これを提出した方々は「若者を指導してやらにゃいかん」とか思ってるんでしょうかね…)