人工知能の研究者が「ディープラーニング」というブレイクスルーから今までとこれからを記した本。
出版は去年(2015年3月)なので、現在(2016年11月)の情報と付き合わせて「むしろ1年で来てしまったのか…」みたいなところがあったりするのも面白いです。
「ディープラーニング」を得た人工知能の躍進
最近よく聞くようになったキーワード「ディープラーニング」「人工知能」。本書はその人工知能について、過去にあったブームやその反動、ディープラーニングがなぜ「今までと違うブレイクスルー」と言われるのか、ということについて解説してくれます。
第一次ブームは1950年代後半~1960年代、推論、探索をすることで問題を解こうとするアプローチ。第二次のブームは1980年代、知識を蓄えることでエキスパートシステムと呼ばれる実用的なシステムが作られていった時代とのことです。
最初のブームは簡単な問題しか対応できず、次はその知識を記述、管理することの大変さがわかってきてブームは下火になってしまったという。
プログラム的には、第一次はIF文の羅列、第二次はその判定にナレッジベースを追加したものかなあという感じがします。
で、現在は第三次のブームにさしかかっていて、ここで機械学習とディープラーニングが出てきます。
しかし正直なところこのあたりの「人子知能とは」みたいな話は本書をご一読いただくのが一番わかりやすいのでここからは完全に素人プログラマの感想になります!
(ほんと素人なので勘違いしててもいじめないでください)
それでIBMのワトソンの話などを読んでいると、2015年に書かれたものなのですがそこからわずか1年あまりで…となることしばし。
ワトソンはアメリカのクイズ番組で優勝した事例が紹介され、「クイズ番組で優勝したワトソンの技術は、今後、医療分野にも応用されるという。蓄積された膨大なデータから、患者の治療方針を的確に示す。(略)長年、がんを専門に治療してきたベテランの名医よりも、経験の豊かな医師になりうるのかもしれない」とあります。
あわせて読みたい:2000万件以上の論文を読み込み白血病患者を救った話
うん…(これだけをもって名医を超えたという話ではないですが)予想した事例がそのまま出てきたりとか…
他には自動運転や金融取引、ルンバにSiri、アドテクなんかで利用されている、利用されていくだろうという事例が並んでいまして、それを見ているとずいぶんと人工知能に頼ることになっていくのでは、という感じがあります。
Pepperくんも発売されていますね。パチ屋の入り口でつぶらな瞳を向けてくる奴。
最近(2016年11月)だと東ロボくんとか。東大はつらかったが明らかに俺より頭いいでしょ…
特徴を学習するというブレイクスルー
それでディープラーニングの話。これが登場したことにより第三次ブームが巻き起こりつつあるわけですがそんなにすごいものなのか。ということが書いてあります。
これは機械学習のカテゴリの中のもので、「特徴を自動的に学習する」というものになるよう。
例えば、ねこ画像のねこを認識させるためには、人がその正解を詳しく定義したデータを用意していました。
ディープラーニングするということはそれとは違い、ひたすらねこ画像をねこだと覚えさせる。するとAIが「ねことはどういうものか」を認識する。だからねこ画像からねこが認識できる。
プロセスが違うことがおわかりいただけるでしょうか。
何がすごいっていうと、これはAIが「ねこ」という概念を認識できたということになります。概念を認識できると応用が利きます。
今、自分が目の前の「視界」という画像からいろいろなモノ、人、状況などを一つ一つ丁寧に教わったわけでもないのになんとなく理解できるのも、「それっぽい」という概念があるからなのだと思います。
逆にプログラムには、例えば車のナンバーにどんな数字が書いてあるか認識させるだけでも順を追って定義して、そこからズレたら一気に認識精度が落ちる。
それが「ナンバープレートっぽい」「番号っぽい」で認識できるとまた可能性が一気に広がる。
…現在はここまでいけるわけではなく、あくまで「ディープラーニングでその可能性が出てきた」というところですが。「サンプル」と「正解」のペアから特徴を自動的に学習し、初見の内容を識別するという流れはあります。
じゃあ一体何ができてるんだというと僕の中で一番有名なのはきゅうりの仕分けマシーンですね。
まさかのテレビデビュー!
news.tbs.co.jp
TensorFlowとディープラーニングできゅうりの仕分け(実戦投入)というの強すぎ。
※TensorFlow…Googleの開発した機械学習用フレームワーク
今のところは、こういった「識別」「分類」に強いという印象を持っていますが、概念というものをもう少し上手く学習させられることができるようになれば、もっと応用が広がるでしょう。
上手く学習…ほんと、ナンバープレートをナンバープレートって教えるのどうすればいいんやろうな…むしろ僕はどうやってそれを認識しているのか。
この、上手く認識させるにはむしろ自分はどうやって…そしてそれをどう再現したら、というところを突き詰めていくと、人工知能がやがてそれらを吸収したとき、本当にただのプログラムの範疇なのかという気持ちはなくもないです。
人工知能のCGで宮崎駿監督に怒られてしまった件とかありましたけど、人工知能に生命を感じる監督、ある意味流石なのかもしれない。
それはそれとして何ンゴさんなんだ…
人は人工知能に駆逐されるか
そしてもうひとつ気になるテーマがこれ。人工知能は人間に取って代わるかという話です。
SF的な話でもありますね。
「シンギュラリティ」という特異点、人工知能がある一定のレベルに達するとそこから先は爆発的に進化を遂げ、人を超えていくだろうという話もあります。
人工知能が自己を再設計し、少しでも(ほんの0.1%でも)性能が上になるものが出来た場合、コンピュータはその再設計を無限に高速で繰り返し遙か彼方に到達してしまう理論。
そういう繰り返しはコンピュータ得意だから結構シャレにならない。一瞬で抜かれる予感しかしない。というか個人的には既に抜かれてる。
そういったもので人類は人工知能に征服されてしまうのか。
まあ本書では、人工知能がそんなことにはならないという立ち位置で、「ロボットはまず生産が大変」「コンピュータ・ウィルスによる侵略は正確な改変が大変」「人工生命は育てる時間が大変」ということでAIによる侵略は現実的ではないとしています。だがちょっとまってほしい。
三番目はともかく…最初のロボットは人間の協力者がいれば解決してしまうのではないか。
もし僕がおかねもちで「自己再生」「自己進化」「自己増殖」を成し遂げる機会が到来したら迷わずBETするね! そして地球がリングになる。
2番目の、いわゆる「人類を破滅に導くプログラム」というのもSF的にはなかなかアツそうです。
これも想像すると、今はそうかもしれないですが将来いろいろな制御が人工知能によって行われるようになった結果、その制御している人工知能を「説得」すればよいということになるんじゃないかって思うとむしろレガシーな端末大活躍みたいなふうになったりとか
いやあ夢が広がりますね!
最期のほうはとりとめがなくなってしまいましたがこれからの人類のご活躍お祈り申し上げます。
いやほんと、適当な話しかしてないので気になる方は是非。BOOK☆WALKERのほうに「イヴの時間」表紙もあったり。
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