つんどくダイアリー

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わりと好き勝手書いてるからネタバレてたらごめんね。旧「怒濤の詰ん読解消日記」。積まれてしまったマンガ、ラノベなどを読んで感想を書いています。結果として面白い本の紹介だったりまとめだったりになってる。/端末の表示によると、あと740冊/※本サイトはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています。ページ内のリンクがアフィリエイトリンクの場合があります。

TYPE-MOONの歴史を同人時代以前からFGOまで辿る一冊「TYPE-MOONの軌跡」【読書感想】

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TYPE-MOONの軌跡 (星海社新書)

 「月姫」が頒布されたのが2000年12月29日。「Fate / stay night」(以下Fate/SN)が発売されたのが2004年1月30日。何もかもが懐かしい…

TYPE-MOONの歴史を辿る

 本書は奈須きのこ武内崇の両氏が中学時代に出会ったところからTYPE-MOONを結成し「月姫」を制作、「Fate/SN」でさらにヒットを飛ばし「FGO」に至るまでの歴史を紐解いたものになります。

 メインの流れとして登場する作品は、主に「空の境界」「月姫」「Fate/SN」「Fate/Zero」「魔法使いの夜」「FGO」となり、それら作品群の制作がどのように成されていったのか、作品に込められたメッセージの考察なども交えて語られていきます。その内容についてはわかりみしかない。

 制作エピソードとしては「武内氏が奈須氏の生活費を出しながら月姫作った話」とか「夕日を見ながららっきょの執筆を促した話」とか「講談社ノベルズからの出版を渋る奈須氏を太田氏が笠井潔氏と温泉に連れて行って説得した話」とか断片的に語り継がれてきた話も収録されており。

 改めて「ああーそういう話もあった…」って思いながらページをめくっておりました。

 「FGO」や昨今のアニメ化作品などからTMを知った方は逆に、このあたりのエピソードは新鮮で面白いものに映ることでしょう。割と無茶してますしね。

クオリティを追い続けた結果が後から付いてきた歴史

 こうしてまとまって流れを振り返ると、要所要所で採算度外視のすごい博打張ってるなと感じるところがあります。(まだ「小説家になろう」とかも全然無い黎明期に)Webで小説発表してみたり、硬派伝奇小説の書き手が同人エロゲ作ってみたり (伝奇とエロは相性良いので自然な流れかもしれないが)…生活費出してるのは同人あるあるかもしれないので…いや無いか…

 一番つよいのはやはり空の境界全七章完全アニメ化ですね。

 「空の境界」は第一章からして映像化したら即バレの叙述トリックが仕込まれていたりして、ただでさえ無理だろうと思われていた作品ですが、その面白さや雰囲気を損なうこと無く映像化した上に劇場公開。個人的には「空の境界」の成功が、TYPE-MOONのターニングポイントとなったのではと思っています。(作品もそうですが、TYPE-MOON講談社'(星海社)ーアニプレックスufotableの繋がりが出来た)

 当時、テアトル新宿から上映が始まって、ぽつぽつと全国に広がっていって…第一章はコミケのついでに劇場に行きましたがこの時点で圧倒されました。(新宿のオールで見たのは一章と二章みたい。記憶はうろかったけど日記が残ってた。三章、四章あたりまでは新宿行ってたみたい)

 らっきょはいきなり愛蔵版みたいなことをやったりもしていたのでTYPE-MOON周囲が無茶だったところはありますが。

 今ではものすごい人気になっているFGOも、出たときに「スマホでシナリオ重視アプリ」をリリースするのは挑戦だったと思います。ガラケーソーシャルゲームからスマホアプリに移行しているときではあったけど、有名なのはパズドラとかのライトなもので。「チェインクロニクル」のようにシナリオ重視でヒットしているものもありましたが少数派だったと思います。

 FGOはリリースした直後はいろいろアレでしたが、そこから地道に改良を重ねて理想に向かっていく姿勢は凄いと思っているし、たぶん普通に利益を考えたらできないようなことをやってのけています。(だがスキップ実装派の私からすると宝具スキップ実装はよ。本文中では

 結果論として「結果はあとからついてくる」を体現してるような歴史でもありますね…

 「奈須きのこ」の才能に周囲がMAXBETしてきた結果とも言えます。

 そしてその才能に惚れ込んで、要所要所で的確なサポートを決めてきた武内氏の活躍も見逃せません。名編集、名プロデューサーみたいな二人三脚さなのでしょうか。彼がいなかったら空の境界月姫も世に出ていたかわかりませんし、Fateも今とは違ったものになっていたかと思うと本当に偉大。

事前に知っておいた方が良い作品多数

 本書はタイプムーンヒストリーがまとまっている一冊ですが、ところどころ作品に対する著者の感想、解説も入っており、ただの資料ではなく「TYPE-MOONを理解する一冊」にもなっています。

 これらのパートについても「わかるわ」としか言えないわかりみを発揮していましたが、各作品の核心に触れる部分ばかりなので知らない方には勧めづらい面もあります。

 ネタバレ部分に入る前には警告がちゃんとあるので、気になる方はスキップして各作品を楽しんだ後に改めて読んで下さい。

 その絡みもあって事前に読んで/プレイしておくと良いと思ったのは次の作品になります。

 FGOについては第一部クリアまでが条件となる難易度ですががんばっていただきたい。

 月姫Fate/SNについても、他のルートについての話があるのでゲームのほうを…月姫は入手難易度が高いな…(リメイクじゃなくて良いから再版してほしい…)

 このほかの作品についても言及されていますがそこまでクリティカルではないです。興味を持ったら読んでいただけると良いと思います。

 もちろん知らなくても全然読めます。ネタバレ部分の注釈にはお気を付けください。

昔から知っている人には懐かしい一冊、今からの人には新しい一冊

 こういう歴史の本って、実際自分の経験として知っているとより楽しめるところはあり、個人的な感想を言うと懐かしさであふれてました。

 でも知らなかった人が楽しめないわけでもなく、興味のあるものの知らなかった歴史を追うことは面白いものだと思います。

 作品名でだいたい察せられる人には問題なくお勧めしたいですが、TYPE-MOONを最近知ったけど他の作品はあまり知らないといった方にも、他の作品に目を向ける機会として勧めたいと思います。

著者の坂上秋成氏は以前4Gamerでインタビューされていた方で、だからこそ納得の出来。

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