Go! フリィーーーダァーーーームッ!!!
違うそっちの巻じゃない。
そう、この巻から、ついに奴が来てしまうのです。
ゼンラー星からやってきた自由の騎士が!
そういう話ではない。
…はい、そうですね。
もうあの登場から退場までの流れが完全にツボっており。
2巻目にしてこれかよ。
ほんとこの作者あたまおかしい…! (惜しみない拍手
ストーリーのテンポとか話の緩急がすごく好みなのも林トモアキ作品の魅力なのですがそれが惜しみなく発揮されているところだと個人的には思います。
本当に。
こういうところで。
物語の焦点は連合vs帝国へ
前巻で帝国の先遣隊をかろうじて追い払ったミスマルカ王国。
そのときに捨て身で協力を取り付けた中原各国と連携して帝国へ立ち向かう…という話にはなるんですけど、なかなか難しい話になります。
そこへ出てくる聖魔杯の謎。その封印を解くために勇者が集められる。
聖域には魔王が君臨している。神殿教団の存在も明らかに。
ここまでミスマルカと帝国だけだった世界情勢がざっと広がった感じですね。
教団に選ばれた勇者、というのは「お・り・が・み」のこととか思い出すとちょっと懐かしい感じになる。長谷部という名前とかもですね。
「勇者」として圧倒的に正しい立ち位置と振る舞いを見せる、宗教国家ハイランドの王子でSSクラスの勇者リーゼル。
啓示は受けたが「勇者」であることを全く無視したかのような振る舞いの、魔王を殺すことしか考えていないジェス。
こういう思想の違いを絡めつつ、ジェスとレイナーの過去などで事情を知ってる読者的には「ああーああー」みたいなふうに思いつつ転がっていく話がまた楽しい。
帝国の思惑も第二皇女ユリカから語られたりして、少しずつ情報が出てきている、帝国との関係はどうなっていくのかというところもあります。
ファンタジー的バトル要素ががっつり乗ってるはずの世界観で、その実情報戦だったりするんだよなあこの話。
完全にぶっ壊れてると評されるマヒロ王子
ゼンラーマンのことではなく。
いやそれはそれで…なんとも弁解のしようがないけれど…
相変わらずこの王子は躊躇なく自分の命をチップに張る。
そこに至るまでの思想も少しこぼれていましたが、自分を卑下しているわけでも自己犠牲の精神というわけでもない感じなのが、周囲の人間から「壊れてる」と評される要因なのでしょうね。
むしろ卑下した結果であったり自己犠牲的であったりしたほうがよほど人間らしい。