怒濤の詰ん読解消日記

つんどくダイアリー

旧「怒濤の詰ん読解消日記」。積まれてしまったマンガ、ラノベなどを読んで感想を書いています。結果として面白い本の紹介だったりまとめだったりになってる。/端末の表示によると、あと771冊

インターネット時代のプロモーションブックかもしれない 「ネットには神様がいる 「ネットは票にならない」が覆った日」感想

ネットには神様がいる

 ネットでの政治活動を主にしていた山田太郎氏の選挙活動振り返り。でもこれからネットでプロモーションをしていくような人にもヒントになるところがあるかもしれない。

インターネットを中心に活動し結果を出した元議員さんの振り返り

 先の参議院選挙で個人29万票を集めたが、惜しくも落選してしまった元参議院議員、山田太郎氏の主にネットにおける政治、選挙活動を振り返った本。

 なんですが、そもそもの話として「ネットは票にならない」と言われていた中で、ネットの活動を中心に集めた票が他党の当選者を軽く上回ってしまっているという結果をぶちあげたうえでのネットの神様なので、そのインパクトは絶大なものです。

 比例代表制は、党名を含めた全体の得票数から個人の得票順に当選が決まる仕組みなので、山田氏が出馬させてもらえた新党改革の得票数ではそこに届かなかったため落選してしまいましたが、今まで言われていた「ネットは票にならない」という評価を覆すには充分すぎる結果でした。

 ここで「神様」という言葉が持ち出されたのがちょっと面白くて、完全に電気と科学で動いているインターネットにおいて、そこを伝っているのはそれを使う人達の意志だと思うと「神様」が誕生していてもおかしくはないような気になる。

 本書で書かれている内容は、市場でいう「神の見えざる手」(自由競争の結果、市場は最適な状態に自動的に調整されるという話)に概念的には近いものがあるかもしれないですが、やはりここでも「神」がつく。

 個人を超えた意志の集まりが作用して何らかの結果をもたらしてくれるということは、神様のような超越した何かの存在を感じるところかもしれないです。

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(「ネットには神様がいる」表紙より)

 まあこの神様、めっさどっかで見たことあるような親近感しか感じないんですが…

ネットの神様に大切なこと

 それで、この本ではその活動についての振り返り、またどのようにそれだけの結果を残すことができたのかという分析、解説でもあります。

 大切なポイントとされているのは次の三点。

  • ネットでは信頼を得ることが大事

  • ネットでは自分だけが発信者ではない

  • 継続は力なり

 言ってしまえばこの本、この三点だけを押さえていればよいかもしれない。

 端的に言ってしまうと「嘘をつかない、コミュニケーションを取る、あきらめずに続ける」という話です。

 これは政治活動だけじゃなくて、企業や個人のプロモーションでもよく感じる、これから重要になっていくことじゃないかと思います。特に嘘をつかない。

 インターネット時代は全てがアーカイブされているので、過去のことが水に流れていかない。消してなかったことにしようとせず、ちゃんと認めて謝ったり訂正したりしていかないといかんよという。

 これは確かに、いろいろと思うところがあります。過去に考えていたこと、活動してきたことが良いことも悪いこともちゃんと残ってしまっているから、それと食い違っているようなリップサービスをしても不信感を煽る炎上の種にしかならなかったりするんですよね。

 またインターネットには野生のプロが多数いるので、何についても自分より詳しい人が山ほどおられる。己の小ささを感じるところですが、そういうところにPV目当てで適当なものをぶちあげるとまるっと焼かれる事例が最近あったりもしましたね。(医療関係でこれをやるのは流石にシャレにならなかったかという…)

 ただ逆に、そういった「間違えたこと」に対して誠実に向き合うことで、評価としてプラスになるかもしれない。間違える、訂正することがマイナス評価ではなくそれを隠そうとすることがマイナス評価になるというのがこれからのネットなのかもしれません。

 それから自身の発言が間違って伝わってしまったり、解釈されたりしたことについても、情報ソースのアーカイブがあるのでちゃんとした意図を説明することができます。またこれらを見かけた人が、指摘や訂正をしてあげることもできます。

 それら誠実な活動を地道にめげずに続けることで、だんだん広めてくれる人も増えてプラスになっていく、という正のスパイラルに入っていくのがベストということです。一朝一夕の銀の弾丸みたいなものはやはり無かった。

若者の価値観とこれからの話

 あとは、というか大半は選挙活動の振り返りなので、知っている人は「こんなこともあったなあ」、知らなかった人は「そういうこともあったのか」というような感じ。

 そして最後のほうで触れられている「若者」の価値観やそのとらえ方について、流石「(創作物もちゃんと含めた)表現の自由」というところで活動されてきた方だなと思いました

 世代間の価値観の違いは善し悪しではなく別物であるとか「若者は迎合ではなく寛容を求めている」とか、個人的な感覚にも一致していて大変頷けるところです。ほんとにもう、ほっといてくれればそれでいいんですよね…

 20年後、今の「若者」と呼ばれている層が中高年になってきたときにどう世の中が変わっているのか。技術と情報伝達の進歩により、少なくとも現在のおっさんの価値観とはまた違った常識になっていることでしょう。

 その未来では一体、「ネットの神様」はどんな神様になっているのか。

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(「ネットには神様がいる」表紙より)

 変わってなさそうな気しかしないな…