「ラノベで巨大ロボは難しい」とまことしとやかに言われていた中で見つけた、確かなSF力と読み応えのロボットバトル、アツい展開と勢いのあるラノベでした。
戦争を経て生まれた競技「ストライクフォール」
「宇宙の王」を名乗る存在からもたらされた万能の泥、「チル・ウェポン」。
その技術をもって作られた巨大ロボット兵器「ストライクシェル」でチームを組み相手のリーダーを撃墜させる競技、それが「ストライクフォール」。
広大な宇宙空間で繰り広げられる、最新鋭の技術が推しげもなくつっこまれるこの競技。当然のごとく大人気となり、その選手達はもうスター扱いです。
主人公の鷹森雄星はストライクフォールの選手を目指している、まだアマチュアの少年。だがその弟はもうすぐプロになろうかというトッププレイヤー。
兄より優れた弟が存在してしまった…
この兄貴の意地が道を切り開くことが出きるのか
この遙か先を走る雄星そっくりな弟、鷹森英俊の存在は雄星にだいぶプレッシャーを掛けていくのですがさらに幼馴染み(兼同居人)の白咲環もどこに出しても恥ずかしくない完璧な美少女というこの呼吸を止めて一秒あなた真剣な目をしてしまいそうな星屑ロンリネス。(始まるのは野球ではなくロボットバトルです
自分とは実力が違いすぎる弟、遠すぎるけど近くにいてくれる幼馴染みに劣等感のようなものを感じながらも宇宙を目指して挑戦を続ける雄星。
少し粗雑な雰囲気や、けちょんけちょんにやられても不屈の根性でくらいついていく主人公とか懐かしい感じすらあります。だがそれがいい。
雄星が雑魚すぎるわけではないんですけれどね…むしろ腕の立つ部類ではあるはずなんですが。周りが規格外すぎるのか。
しかし雄星は熱い思いを抱えて様々な困難に挑んでいき、読んでいるこっちも彼が一発ぶちかましていくごとに「おおおおお!」って盛り上がる。完全に観客席のそれですね。熱い。
「チル・ウェポン」というオールマイティな存在を踏まえた上での状況や設定などはすごく細かく考えられていると感じるところと、この雄星視点の物語の勢いがある意味ミスマッチしていて、さらに熱さを加速されているかもしれない。
物語としても宇宙より帰ってきた弟との勝負、その弟のデビュー戦のために宇宙に向かった先での運命を経て、今後どうなっていってしまうのか…
「ストライクシェル」と「チル・ウェポン」によるアツいチームバトル!
そして本作品の見所はやはり、その細かな迫力あるロボットバトルでしょう。
巨大ロボでかつチーム戦、大人気競技として軍事勢力の代理戦争として最先端技術が惜しげも無く投入されていくストライクフォール。
競技として人命に危険はないようにされてはいるものの、巨大兵器がガチで殴り合い銃火器を撃ち合うその迫力はいかなるものか。大人気になりますわ…
それらの描写も細かく、でも分かりやすくてするっと状況が想像でき、すらすら読めてしまうのでますます続きの展開を、決着がつくまで追ってしまう。
少し硬派な王道的雰囲気、そしてロボットとロマンにあふれて…それらを特等席で見ているような作品だったと思います。ロボットまたはスポーツ競技が好きな人なら絶対楽しい。
あと僕としては蛮族かわいい元気娘アデーレ嬢を推していきたい。かわいい。