MMORPG『ライブダンジョン!』と似た世界にやってきたガチゲーマーの努がヒーラーとしてダンジョン攻略していくシリーズ第8巻。前巻から続くスタンピードに立ち向かっていく、ダンジョン外でのレイド戦になります。
ダンジョン外では蘇生が効かないから死んだら終わりの状況で、大量のモンスターと竜種を下さないといけないため、今までの「死んでも復活できる」ってノリから大きく緊張感が変わる…いやツトムはあんまり変わらないように見えるところは強メンタルだよな…被害の大きさを実際に見たときも冷静そうで。
ヒーラーが冷遇されていた状況から、ヒーラーのツトムが巻き返していくのが面白いシリーズですが、大規模戦闘であることもあってアタッカーが大活躍する場面が多かったです。あと貴族も。正直土壇場では逃げるのかと思ったら、矜持と責任感があるからああいった態度なのかともね。こういった場面がなかったらほんとにただのドラ息子で終わってたろうけれど。
また最初にツトムを「幸運者(ラッキーボーイ)」と呼んだアルマとの因縁回でもあったのかもしれないですね。本人にそこまで悪気はなさそうに思えたけど、結果的にそれでツトムがひどい目にあっていたわけではある。でも当人がそこまで何かしたかっていうとそうでもないから、哀れな感じのほうが強いかな…むしろちゃんと立ち直ってほしいとすら。
黒杖の真価が発揮される場面もあって、やっぱり元の持ち主が一番よく使えるのではと思わせるところも。最後は手元に戻ってくるのかなこの武器。
「やっぱり レイド戦は苦手だ」で締められている今巻、戦果としては大勝利なんだけど、開始前から終了後まで、ツトム自身の気持ちには大きな影響与えているんだろうと思いました。