順調に恋愛工学に染まっていく渡辺くんに明日はあるのだろうか。
「出会いのトライアスロン」ラストのコース、クラナン (クラブナンパ)
前巻からの、街コン→ストナン (ストリートナンパ) ときて、最後はクラブで出会いを求めるクラナン (クラブナンパ)。
(「ぼくは愛を証明しようと思う。」2巻より)
完全に気圧されている渡辺くん。(行ったことないけど)わかる…
でも、ここまで永沢さんに鍛えられてきた渡辺。もうこんなところでもたついているような男ではない。
クラナン後も、今日声を掛けた女の子たちに連絡をして、上手くいくことも行かないこともありつつ、でもめげずに進んでいく渡辺。
この本、ちゃんと失敗パターンも書いているところがハウツーとしてより秀逸で、誰でも着実に進める感じがあるのかもしれません。
また、根が真面目なところが出ているのか、ナンパのために…ファッションを勉強したりジムに通ったり。彼の人生にプラスになっているところも、嘘ではないのでしょうね…
(でも、この上女の子たちとのデートもしてるわけでどう考えても仕事しながらこなせる時間量じゃない気はするからタイムスケジュール見てみたい)
ただその失敗パターンに、「非モテコミット」、つまり一人の女の子に惚れ込むことも含まれているところは恋愛工学テク本らしいともいえますけど。そのまま幸せになる道はなかったようだ。
渡辺くんは草食系と呼ばれてるおとなしめな非モテのペルソナで、その彼がコーチングを受けステップを踏みながら成長していくのが大筋ではありますが、ナンパテクを身につけていくにつれ、むしろ「愛」が幻想でしかなかったことが証明されつつある感じすらあります。(恋愛工学的には、それを真としているようなので当然かもしれませんが)
もしかしたら、女性に絶望した人達の物語になるのかもしれない。
発揮される永沢さんのイケメン力
その渡辺くんを引っ張っていく永沢さん。もう彼がモテてるのは彼だからじゃないかってくらいの… (そして実は、それも「モテスパイラル現象」と呼ばれるものだと定義されています)
彼の指導で見習うべきところは、渡辺が今より一歩でもうまくできたら褒める、間違っていたら叱ると使い分けているところ。決して、満足いかない結果に不満を述べたりしない。
(「ぼくは愛を証明しようと思う。」2巻より)
彼自身もトライ&エラーで技術を培ってきたからなんだろうな、と思わせられます。
(「ぼくは愛を証明しようと思う。」2巻より)
また女性に媚びるわけでも、女性を見下しているわけでもない。(ある意味)真摯に、対等に相手をしています。これはモテるでしょ…
永沢さん、割と相手の女性そのものについては語らないところがあり、逆に「こうしたらこうなる」みたいな解法で捉えているところはありますが。
彼なりの「女性に対するベストな接し方」をつきつめていったものが、恋愛工学なのかもしれないと感じるところまであります。
(「ぼくは愛を証明しようと思う。」2巻より)
「本は自分で金を出して買うから頭に入るんだ」声に出して読みたい日本語。
証明されたものは何なのか
正直なところ「ナンパ大成功で渡辺くんも成長してハッピー!」みたいな感じで終わるのかと思っていたところはあったので、まだ話が続いていくのは意外でした。
恋愛工学って、会話テクニックや心理学などを適宜組み込んでいっている、いわば「女性の習性を利用した反応と結果」みたいなところがあって。
それは事象であって、愛や恋などの感情ではないと思うんですよね。
でも結果として、永沢さんも渡辺くんもそれで成功してしまっている。
2巻最後の結論に渡辺が辿り着くのは必然でもあり、筋道立ててここまで来てしまっているから反論もないのだけど。
やはりどこか、渡辺の中では絶望が深まっているだけのようにも感じてしまいますね。
1巻のときは感想として「地獄の業火に焼かれろ」とか思っていたクチですが、だんだんこれが本当に幸せなのか、よくわからなくなってきています。
(「ぼくは愛を証明しようと思う。」2巻より)