良い。
続く、家族二人の日本の夏。
(「姉なるもの」2巻より)
ふとしたことから「お姉ちゃんになってください」とお願いをして、千夜姉と暮らすことになった天涯孤独な少年・夕。
二巻でも引き続き、姉弟二人の田舎暮らしが描かれていて最高です。距離感がさらに「姉弟(だが姉と血は繋がっていない」になっていく。うん。
どの場面を切り取っても、千夜姉のたわわな魅力とにじみ出る情緒があり、それが舞台となっている田舎の日本家屋に見事にマッチ。
日々緩やかに過ごしている二人暮らしの様子はとても良いものですが、でもその日常はものすごく不安定なところで成り立っていることを二人ともが察していて、それでいて自然に過ごしているところがすごく良い。
だが人としてダメになる
(「姉なるもの」2巻より)
ずっと千夜姉に甘えていたい人生だった。
ゆるやかに続くカミさまとのホームコメディ
(2巻目だし割とプッシュされてるから大丈夫かな)千夜姉は本当の姉ではなく、夕くんが倉の地下室で出会った人ならざるもの、『千の子孕む母なる黒山羊』と呼ばれる〈旧支配者〉の一柱。
神とも悪魔とも呼ばれてきた人外の力をもったものが人として暮らしていくことになるのですが、この作品ではその事がことさら隠そうとされていなくて、千夜姉も夕くんも自然体なんです。
今のところ家にいるのは夕くんと千夜姉だけだし、その夕くんは割と自然にお姉ちゃんのことを受け入れているから隠す必要も何もないんですがそれが良い。人間の暮らしに千夜姉が合わせているところはありますけれど、それはそれで楽しんでいるみたいだし。
(「姉なるもの」2巻より)
「カミさまが、人として生きてみた」みたいなところかもしれません。
(「姉なるもの」2巻より)
夕くんのことになると2ターン目でキレるみたいな勢いでキレるところもあるけど割と平和です。ていうかなんかちょくちょくフォームチェンジしてるし家事とかも髪伸ばした触手でしてるしだいたい自由。
(「姉なるもの」2巻より)
夕くんに「神様っているんですか?」ってストレートに聞かれたとき。いつもの調子でごく自然に答えてくれているんですが、それがなぜか印象深い。「自分たちは人より強い力を持っているが、神とか悪魔とかは人が勝手に呼んでいるだけ」ってスタンスがさらっと出てくる。この答えは逆に「神と呼ばれる概念のものはいない」と言ってるのかもしれない。この場面はまた、前の話とこの後のシーンと合わせてとても、なんとも言えないものかなしい雰囲気にもなったりします。
千夜姉は夕くんに願われて今ここに居て、夕くんからすれば願いを叶えてくれた神様でもあるんだけど、千夜自身がこの暮らしを続けていきたいと願ったときには、それをどこに捧げるんだろうか。
(「姉なるもの」2巻より)
人と人ならざるものが歩む物語はどうしても悲劇的な終わりを想像してしまうけど、二人が幸せな結末を迎えて欲しいと思っています。
それから同人誌ですが5.5は健全だから大丈夫! やったぜ!