「お仕事としての結婚(言葉通りの意味)」という現代の常識からしたら突飛なアイデアで仮面夫婦生活を送ることになったみくりさんと津崎さん。その二人のどたばたを中心に、いろいろな立場の人がいろいろなことを思いながら進んでいくお話です。結婚は永久就職(言葉通りの意味)
※ここから先にはネタバレがあります。どうしても最初のほうのバレは入ってきてしまうので、そのあたりはご容赦を。
なんか今なら電子版が1巻無料のようなので、とりあえず最初だけでも是非。
大学院を出たけれど…
森山みくりさんは大学院まで進んだはいいけど就職活動で全滅→派遣切り→実家ぐらしというコンボを喰らっている25歳。

(「逃げるは恥だが役に立つ」より)
つらーい。
職がないってのは食い扶持だけの問題じゃないんですよね…
それで、お父さんの紹介で独身サラリーマン津崎さん(36)の家事手伝いをバイトとしてすることになって、順調に仕事をこなしていって津崎さんからの評価も上場、やる気も出てきたところでお父さんが田舎に引っ越すから今のままだと続けられないけどどうする? って話に。
そこで持ち出したのがマジで就職としての結婚。一般的には仮面夫婦と言われるものではあるのですが、家事の仕事に対して津崎さんが時給を払うというドライでビジネスな関係です。
いや…賛否両論はある話だと思うんですが、俺としてはアリですね…
それで、それがみくりさんの性に合っていたのかわりかし上手く回っている結婚生活、でもやっぱり距離の近いところで暮らしている男女でだんだんお互いを意識していって、けどそれによって逆に上手く回っていたはずのことが回らなくなってというジレンマを抱えて…っていう、スタートがドライだったからこそ、結婚意識の問題が逆によくわかるみたいなところもあって面白い。
さらに周囲の人達、52歳独身でバリバリのキャリアウーマンやってる百合ちゃんとか、結婚…というか他人に対してサバサバしているイケメン風見さんとか、ゲイの沼田さんとかが絡んできてまたいろいろ面白いことに…
いろいろな人が出てきて結婚観を語ったりするのですが、それぞれの言うことわかるわ…って顔になってでもつらいわ…って顔にもなったりしつつ津崎さんとみくりちゃんの行く先? 応援? いや応援するって話じゃないよなこれ…みたいななんかゆるやかな感じの距離感で読み進めていく良い感じの漫画です。
プロDT(36)の苦悩

(「逃げるは恥だが役に立つ」より)
平匡ぁぁぁぁぁぁっっっ!!!
メガネでプログラマで草食系でプロ独身(36)の非モテというこの世の闇を詰め込んだような津崎平匡(36)。
つらい…その苦悩がつらい…!
というかですね、この話、みくりさんが家事手伝いに来て胃袋捕まれた時点で詰みだったと思うのですよ。飯は偉大。抵抗は無意味だ。
でも、平匡が本気になっていって、みくりさんもそれに応えようとしていくと逆に問題が出てくるって言うのはなかなか皮肉なものかもしれないし、そもそもの世の中の価値観がどうだったのって思うところも出てきますね。その典型なのが家事手伝いかもしれない。
人情搾取とでも呼ぶべきか
「仕事として」家事や人付き合いをこなしていたみくりさん。でも結婚して家族となったらそれはどうなの? みたいな話


(「逃げるは恥だが役に立つ」より)
ここでこの反応。
みくりさん、ほんとに仕事としてやってんやな…
この子わりかしはっきりとお賃金ちょうだい! っていうんで好感が持てます。
八百屋さんとかを手伝うことになったときとかも結構はっきり。それががめついなんて言われるけどそっち商売でやってることやんかなあ。みたいな。
ちょっとしたことなら助け合いの範囲だけどねえ…
でもこの話、先にお仕事結婚から入っているから、そういうところをきっちりしていくのとか、やっぱり報酬があってこそのモチベーションだとかがよくわかる。
というかみくりさん、普通に頭の回転速くてスペック高いしむしろなんで最初就職できなかったの…よほど何かやらかしたの… (それを言ったらこの話が始まらなくなるところまであるからアレですが)
結構いろいろ、家事とか役割分担とか揉めてる話へのひとつの解としても、この作品は面白いなと思って読んでいました。風見さんのいう「理想」っていうのもわかる。
実はドラマは見逃してしまっているので、そっちがどういう結末だったかはわからないのですが、漫画のほうの連載も完結して次が最終巻かな? というところなので結末を楽しみにしたいと思います。
がんばれ、というよりどういう結論にたどり着くのか、っていう感じですが。
ドラマのほうは、見逃し配信してるみたいなんですが相変わらずレンタルのくせに高い…