転生令嬢…前世の記憶とともに悪役令嬢に転生したことを悟る子ども時代から始まり、バッドエンドの運命に抗うために冒険者を目指していくセレフィー始まりの1巻。
聖獣ルーを拾ったり(小説では)未来の皇帝からプロポーズを受けたり、学園に入学しつつ冒険者としても認められたりとむしろ順調(?)に主人公ルートを歩いているようにすら見えててほほえましい。ロマンスもありつつ少年漫画的に未来を切り開こうとするセレフィーの強さが楽しい巻です。
そして小説主人公・マリベルと遭遇する運命の2巻。物語世界に転生するとよくある強制力、当人たちからとってすれば運命の呪いみたいなものですね…この強制力がどこまで働くのかは作品によってまちまちですけれど、そこも話に大きく関わってくる部分。
学園に入学して女の子同士でお茶会してたりする学園サイドと冒険者として活動する冒険者サイドの2段構えになっていて、両方がうまくつながっている感じもいいですね。
能力値的には規格外の位置づけになってるセレフィーちゃんだけど努力してきたと笑顔で言える真っ直ぐさはただのチートじゃ得られない輝きですよ。
日常である学園に帰ってくる3巻。まあよかった…表紙もようやく(?)令嬢っぽくてかわいい巻。収録されているお茶会エピソードにも絡んでドレスなんだろうかな。
運命の強制力やマリベルの主人公補正がどれくらいのものかはまだ謎のままですけれど、それらが明かされるにはまだ早い…世界観的にも割と厳しいこともちらっと出てきて、主人公(令嬢)の視点から全部見えているわけではない厳しさみたいなものが感じられて面白いです。(しかしよくよく思えば前世小説での悪役令嬢ルート、婚約破棄で追放されてから敵国に拾われ生物兵器扱いで最後処刑っぽいから全然穏当な世界ではなかったな…)
セレフィーたちの立場からではマリベルはただの侵入者なので、マリベル側の状況が全く見えないところも不気味に思えますね。小説主人公なんだけどな…
みたいな2巻の後日談的なところを終えて学園に帰ってきてドMが一人増えたり「お茶会」と呼ばれた修行したりとほほえましい日常が戻ってきた(ほほえましい)。しかし女を捨てて騎士に生きるみたいなこともなく、女性は女性のままで騎士になることに意味があるような視点は良いなと思います。「男と同じことできるなら男でいい」ってのはそういうことだよなあ。
またセレフィーが小説物語から大きく外れたように、小説では敵国となっていたギレンもだいぶ印象違っているように思えるからそちらがどう動いていくか今後の気になるところです。あの人も登場人物枠ではあるんだけど強制力でどうこうって性格でもなさそうだし、逆にセレフィーの理解者にまでなりそうって気はするんですよね…次巻はそんな彼が話の中心になりそうなので楽しみですよ。