誰よりも乙女だ…
隔離された都市を巡る冒険
超常の現象を引き起こす「旋律」、それを発現させる鯨蠟器官。本来は稀少な能力であるそれを、あろうことか人工的に発現させ、それをもって都市を治めている「七人の為政者」がいるという閉鎖都市バスティーユ。碓氷玲人郎と元村アリサは政府の名を受けてその謎を解くために、バスティーユに潜入し活動を開始する。
その「為政者」でもあるリリィ・ブーランジェと目的を共有し、同じく為政者のエリーとも協力し、玲人郎とアリサは閉鎖都市の謎に迫っていく今巻。
前巻では閉鎖都市に侵入してからこっち状況に流されている感じありましたけど、今巻では探偵の面目躍如といったような玲人郎の活躍! やればできる子なんだね!
探偵といっても推理的なそれではなく冒険的なほうであり、意表を突く展開と玲人郎の読みと作戦、エリーちゃんの乙女力が光るところとなりました。
あのリリィを追跡するところから屋敷地下で問われるまでのそれ、最初に読んだときほんと「えっ? あっ!」って感じでしたね。地味に違和感を感じてはいたんですがいきおいでそこまで読み進めていってからのそれ。玲人郎もやる。
エリーちゃん
玲人郎の見せ場が強い感じでもあるけどエリーちゃんも負けてない…というか表紙であるくらいの推しっぷりである…誰よりもヒロインらしい乙女なんだね!
もう完全にふっきれていて玲人郎にぞっこんすぎて微笑ましすぎてつらい。どういうことなのか。玲人郎転ぶね。転ぶ。仕方ない。
一方でマルコへの気持ちも忘れていないようでこの揺れ動く乙女心みたいなことになっていてこれ…これ完全に…
この高まるヒロイン力に、果たしてアリサとリリィさんは打ち勝つことができるのか…
ついに現れる、外崎の
そしてついに姿を現した外崎燈子。玲人郎の父の仇であり、碓氷家を簒奪し閉鎖都市に渡り、この国でも「輝ける七人の為政者」に収まっている稀代の悪女。
その外崎燈子がついに玲人郎の前に姿を現しーー意外な結末に。ほんとに。
いやもう、「えっえっ」と読み進めるしかないといいますか。またこれ、エリーちゃんに負けず劣らずの乙女っぷりでしょ…
慈悲がない…
燈子さんにもいろいろな道筋があったのでは、と思わずにいられないですが、もう完全にこれ巡り合わせと言いますか、そこに終着してしまったといいますか。和装でカタナの剣術使いお姉さんというパーフェクトソルジャーだというのに。
まあだいたい玲人郎おまえ…。
あと政府の連中がクソ。クソみたいなやつほど身に覚えがあるからか相手を疑って話をややこしくするってはっきりわかんだね。
とはいえ玲人郎にも同情するところもある、というかもう少し、もう少しいろいろなタイミングがなんとかなれば…と思うところなくもないし。これからどうするかほんとわからんところありますね…ほんとに