文字通り剣崎さんは命をチップ代わりにしてたわけで、殺伐とした駆け引きでしたがね…
死なない人達
舞台となっているのは現代日本、文化なども全く変わらず…なんですが、一つだけ大きな違いがあって人は死んでも復活する。
怪我などをした場合、死ぬまでは普通に苦しむし治ったりもしないんだけど、わざとでも一度死ぬと完治した状態でその場に復活する。
なんていうか例えばゲームでいうと残機無限、その場で即リスポーンみたいなふうですね。
でもひとつだけ例外があって、「RDS」という病に感染すると、その無限復活ができなくなる。つまり死んだら死ぬ。
そしてRDSの感染ルートは、RDS感染者に恋をすること。
恋が文字通りの不治の病…どころか最低最悪の死の病なわけですね…
そのRDSを広めようとしている「ベクター」と呼ばれる者達を追うため、リンから情報を引き出そうとする剣崎。その剣崎を始末するために、自分に惚れさせようとしている「逃がし屋」のリン…事情を知らなければ微笑ましく見えていた追いかけっこも、ベクター「白雪姫」の奪還作戦が行われた今巻で決着してしまった。しまったんだろうか…
なぜ不死者を広めるのか
端的に言って、死なないならそれでいいですよねえ…
劇中でも、ベクターがRDSを広める理由は明示されてはいなくて、ずっと謎です。
でも「死なない」が当たり前の世界で「死ぬ」ようになるというのは最悪の病だから、警察をはじめとして血眼になって駆逐されるのは必然でもありますわな…
こちらで例えるなら「市販の風邪薬を飲んだら死ぬ」という病気があって、それに感染したのかどうかが検査を受けるまでわからない。くらいのカジュアルさ。むしろよくパニックにならない…
それでも広めようとするベクター、それをサポートする「逃がし屋」にも、何らかの目的はあるのでしょうけれど…
そもそもこの異分子がどこから来たのか…というのは、劇中でも少し匂わされているところで、どうも別の世界の日本…歯医者とかが普通にある、我々のよく知ってる日本から来ているような感じです。
(この世界では死んだら完治するので、そもそも医者が要らないから存在しない)
しかも本人達が望んできているところまである。つまり、向こうからこっちに来るための技術は確立しているということなのでしょう。
このあたりのパラレルワールド的なところがさらに謎を呼び、「この世界」の裏に何があるのか一層分からなくしています。
カジュアルに死んだら帰ってこれない恐怖
人は死ぬのが自然なこと…ではないこの世界では、逆にちょっとしたことで死んでしまうようになってしまう、RDSの恐ろしさがはっきりわかるんだね…
まあ、なんていうか、事故などに巻き込まれるよりやりきれない感じはあるのでしょう…
「熱っぽいから自殺薬を飲んで一回死んで治す」っておいおいマジかよって感じの常識がまかりとおっていて、カジュアルに実行したら動かなくなる。
なんともいえないところですね…
本編、剣崎とリンのラブゲームにも一区切りという感じで、新たな事件と謎が持ち上がりつつ進んで行っています。
リンの日記とかで後日談のように話が進んでいるところもあるのですが…このあたりもまた、後のストーリーに繋がってくるフラグだったりするのか。
そもそも「この世界」がなんなのか、というのが今一番気になるところ。銃火器以外に謎の布で攻撃してたりするし。
普通のSFファンタジーだったらむしろ、そういうものかって感じで流しているところだけど、向こうの世界と繋がっていると思うと…そういうところが逆に引っかかる感じがあります。
復活するというところがバーチャルっぽい感じはあるんだけど、果たしてそういう簡単な話なのかどうか。