刊行されている三巻まで読んだところの、この展開の妙。
成り行きのようでもあり踊らされているようでもあり、そして未だに全体が見えないところもあり…
平和な旅路のひとときと
(「ゼロから始める魔法の書」2巻より)
(「ゼロから始める魔法の書」2巻より)
衛兵も納得のけだものっぷり。なんということでしょう…
ゼロの魔術師団の隠れ家である「学舎」のある街へ向かう平穏な旅路。ゼロはどこまでわかってやってるかわからないところがかわいい。
隠れ家に引きこもっていたためだいぶ世間ずれしているところが至る所に見られますし。
そんで「傭兵」に対するそれは好意的ではあるんだけど、なんていうかどうみてもペット扱い…
いやいいんですけど。むしろいいんですけど。
これも世間ズレしてるからなのかどうなのかが判別つかないんですよね。
でも途中でちょっとしたいざこざもありつつ目的地に向かってみたら、そこからまた急展開。
それで急展開かと思ったらまた急展開。
さらに細かく伏線のような謎が回収されたりしていくけれども事件の全体像が未だ見えず、行動に疑問符が付くばかり。
うーん、魔術師の絡む話は一筋縄ではいかないものばかりですね。それがいいんですが。
よくわからない謎の魔術師「十三番」
これまたつかみどころがない男、十三番。魔術師ってこんなんばっかなんか。まあ基本世捨て人やしなあ…
ゼロのことを心配しているようなしていないような、利用しているようなしていないような、信望しているようなしていないような。
詭弁と甘言を弄して人を意のままに動かすようなタイプの男に見えるんだけど、最善手を打っていったらこうなっちゃいましたみたいなふうにも見える。つまりよくわからない。
そしてここからこの男が何をどう導いていきたいのかもよくわからないところがあって、「傭兵」に対しての言動やアルバスの扱いなんかも謎。なんだけど、深く考えないとただそのときの最善手のようにもみえてやはりよくわからないのよな…
善意と悪意と技術
魔法は技術でしかない。
(「ゼロから始める魔法の書」3巻より)
…というのが、ほんとせつない。
でも逆に、それがちゃんと「技術として」広められていたら、ゼロの思ったように使われることのほうが多かったんじゃないかなあ、とも思うのですよね。
魔術というものはすでにあり、魔法はある程度の才能は必要だけど特別とまではいかないようなもののようなので、悪用されることはない、とは言えないけれど。いずれはちゃんと善意によって扱われることになったんじゃないかと。
今回の騒動ですでに「魔法」の秘密は漏れてしまったので、本を回収したとしてもおそらくパラダイムシフトは避けられないと思うのですが、この後どうしていくのか。
そのまえに、この魔術師団騒動にはどんな結末が待っているのか。
いよいよ大詰めなところで、ゼロと「傭兵」の行き着く先はいかに。