彼岸と此岸の間にある高級温泉旅館・此花亭を舞台にした、新米仲居の柚が送るちょっと不思議でハートフルな日常を綴った上下巻。
というかちょっと不思議っていうか登場する仲居さん全員狐っ子だしかわいいし、旅館のお客さんも神様だったり物の怪だったり迷い込んだ人間だったり存在自体が不思議の領域。狐っ子だし。すばらしい。
そういうほのぼの和風怪異テイストでお届けされる幻想物語です。あと掲載誌が百合姫エスというライト百合雑誌だったので百合百合しいところある。温泉旅館なので温泉もある。いいぞ、いいぞ
基本一話ずつのオムニバス形式で柚たちの日々が描かれているのですが、ここは異界の和風旅館。その話の中にも和風の怖さ、不思議さがまぶしてあって少し背筋が寒くなるところがあったりものかなしくなったりするところがあるのがたまらないです。
個人的には大桜が咲いた話、夜の怪談で怪異を呼び寄せてしまった話が好き。
これは連れてかれたら帰ってこれんパターンやで…と思ってるとピュアすぎて全然気づいてない返答でそれを回避する柚っちほんとに天使。狐は神の使い。違いない。
その後の夏祭りでもやっぱり迷い込むしこの子。
そして新装版では柚と八百比丘尼の出会い、奉公に出るまでが書き下ろしで収録。
この成長もじんとくるものがあります。
それでこの作品は上下巻でいったん区切られているんですが、作品自体は「このはな奇譚」としてバーズで連載再開しています。
モデルになった温泉宿見てたらほんと温泉…下呂にもあるのか…下呂なら…温泉…
このはな奇譚のほうも2巻まで出ているようで、そちらのほうの感想はまた。