たわわな殴り巫女さんが和風VRMMOで大活躍のSAO外伝!
そして接点になっているのが「マザーズ・ロザリオ」で活躍した「スリーピング・ナイツ」とあってこれがまた最高にアツかった。
和風VRMMO「アスカ・エンパイア」
SAOから広がった「ザ・シード」プログラムを元に作成された和風VRMMO「アスカ・エンパイア」。
本シリーズはそこが舞台となり、基本的に洋風なSAOワールド、銃と戦場のGGOとはまた別の雰囲気を出していて大変よいです。巫女さん! ニンジャ!
たわわな殴り巫女…拝むしかないレベルではあります。ニンジャは完全に愉快担当。だが同性だから膝枕が許されるのか。しかしこの同性ならではの気安さ、百合百合しさのない仲良し女子トーク的なところはまたGJと言わざるを得ない。
その世界観の中でどうみても浮いてるLUCにステ全振りの探偵もまたイカス…キャラメイクとしては間違ってる気がしないでも無いけど全振りの理由聞いて「ああ確かになるほど」って思ってしまったあたりなんともいえない気持ちになる。
そんな素敵キャラクターたちがオカルト怪異と妖怪と猫の世界でクエストの謎に挑んでいく、少し切ないストーリーです。
イベントクエストに秘められた物語
その「アスカ・エンパイア」ではイベントとして、ユーザーが「ザ・シード」を用いて作った投稿クエストを配信していたのですが、そのクエストを一週間でクリアしたいと法外な報酬を積んできたヤナギという老人が現れて、戦巫女のナユタ、忍のコヨミ、「探偵」のクレーヴェルがその攻略を手伝うことに。
さらにそのイベントクエストには運営も予想外だった仕掛けがしてあったりして、事態は思わぬ展開に。
和風VRMMOという舞台にぴったりの怪談話的雰囲気でもあります。この「電脳空間の怪談」系って普通の怪談より好きなんですよね。
職業柄、プログラムにそういうイレギュラーの入り込む余地がないということはよくわかっているので不思議感が増すといいますか。
でもこの「現実と区別がつかない」レベルにまで構築されたVRMMOなら、「現実世界の揺らぎ」みたいなものまで再現できてるんじゃないか(=再現できるということは、逆説的に現実世界でも起こっているのか)とか想像が膨らむ。
最終的に、それがオカルトだったのかどうか…というのは是非みなさんご一読くださいというより他ありませんが。こういったSF系+オカルト好きにはたまらない感じになっていると思います。いろいろと。
これがVRMMOの中の閉じた出来事であれば、まあゲームの中の…って感じになっちゃうかもしれないのですが、SAOシリーズは現実に軸足を置いているところがあるので、デジタルでは割り切れないものがデジタルにあるかもしれない、っていう感じが強まるところがあるのでしょうか。
人工知能は魂を獲得できるのか
そして個人的に裏テーマのように感じていたのがこれ。人工知能。
SAO世界のNPCはすでに概念的なものを理解し、人の思考に合わせた受け答えができるレベルになっているのですが、そこからさらに進んでいく感じがします。
人工知能が真に自我を獲得できるかという物語でもある「アリシゼーション編」で語られていることと重複すると感じるところはありましたが、あちらはいわば養殖の箱庭、こちらは天然ものみたいな。
タイミング良く読んでいた人工知能の本の影響なんかもあり、(SAOの)VR空間ってやはり理想的な育成環境かもしれない…って思ったりしますね。人の思考とAIのそれが(システム的に)対等になれる空間でもあるし。リソースは物理現象の枠を超えて無限にあるし。その上で、現実空間を模倣できる程度の演算を備えている。
だいぶ好き勝手やってる萌芽みたいなものもあるようで、行く先がいろんな意味で楽しみですね。期待と不安みたいな。
最後まで読んで、人の思考を再現するプログラムがその思考に沿った結果、プログラムから外れることは果たして矛盾しているのだろうか、みたいなふうにも思ったり。それはそれとして、すこしふしぎな話としての読み味は最高だったり。
SAOシリーズ好きはもちろん、VRMMO、和風バトル、SFオカルト好きな方は楽しめる感じです。猫とたわわ巫女さんでもいい。むしろそれがいい。あの甘味処ログインしたい。