つんどくダイアリー

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わりと好き勝手書いてるからネタバレてたらごめんね。旧「怒濤の詰ん読解消日記」。積まれてしまったマンガ、ラノベなどを読んで感想を書いています。結果として面白い本の紹介だったりまとめだったりになってる。/端末の表示によると、あと740冊/※本サイトはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています。ページ内のリンクがアフィリエイトリンクの場合があります。

「秘密 ートップ・シークレットー」4巻まで感想 脳に秘められた最後の「秘密」を元に解き明かされていくミステリー・サスペンス

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秘密 ?トップ・シークレット? 1 (ジェッツコミックス)

 ただいま絶賛公開中の映画「秘密 THE TOP SECRET」の原作漫画。
 映画化キャンペーンで1,2巻が期間限定無料、3~4巻が半額でしたのでひとまず4巻まで読んでみました。

「脳に記録された秘密」から事件を解き明かしていくミステリー

 科学警察研究所法医第九研究室、通称「第九」では「MRIスキャナー」という「脳の情報を映像化」できる装置を用いて、猟奇殺人の被害者、殺人犯、死刑囚などの脳から捜査に役立てるための情報を探り出すという組織。

 この「第九」に配属された青木一行と、室長である薪警視正、それから「第九」のメンバーたちが数々の猟奇事件に挑んでいくというストーリーになります。

 (1巻の最初は米国大統領暗殺事件を舞台にしたものだったので「第九」は絡みませんでしたが、その他の事件は「第九」が扱ったものになります)

その人の見ている世界

 「被害者の見ていた映像が見られたら犯罪捜査なんて一発なのに」っていうライトな感じのそれと、実際に捜査で見られているところが描かれることでその発想のなんともいえないヤバさ、気持ち悪さ、でも捜査情報としては一級品であり、事件解決のためには仕方ないというこのバランス…

 「他人の記憶は見てみたい(仕方ない)」「自分の頭の中は絶対に見られたくない」という身勝手な矛盾をひしひしと感じるのですよね。

 それは、この脳内映像が「事実」の記録ではなく、「脳が認識した映像」、つまり「その人の感じていたイメージである」ということと、犯罪の証拠だけじゃない、その人の人生の記録でもあることが時折示されるから、より強くそう思うのかもしれません。

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(「秘密 ートップ・シークレット-」1巻より)

 大統領暗殺の情報を得るための視覚化での一場面は、これが犯罪捜査として行われているけど、扱っている事柄はもっと尊いものだということを示しているよう。

 もちろんこれは紙一重であり、28人を殺害した連続殺人犯、貝沼清孝の捜査にMRIが使用されたときは、貝沼というフィルタを通して見たその映像によって3人が自殺、1人が精神に異常をきたし病院送り。

 そして「第九」で扱うことになる事件はほとんどが猟奇殺人、重大事件になりますから、その過酷さ、さらされる悪意がどれほどのものかという…
(モラル的な面もあり、MRIスキャナーが使用される許可が出るのはよほどのものになるので、自然とそうなってしまうのです)

 連続殺人犯から抽出された純粋な悪意、被害者から見た殺される瞬間、そして走馬燈のような綺麗な世界…それらのものが混ざり合って、物語を進めていきます。

重大事件とその捜査

 そんなデリケートかつ危うい捜査に持ち込まれる事件もまた、重大で猟奇的なものばかり。大統領暗殺に始まり、謎の集団自殺、一家惨殺の真相、ケースに入れられ送りつけられてきた脳…それらの加害者、被害者の脳から情報を得て、薪、青木、「第九」メンバーが事件の真相に挑んでいきます。

 おぞしい悪意に満ちたマスコットキャラの連続殺人事件や、あくまで証拠映像として使っている沿線の連続殺人事件だったり。被害者、加害者が脳で語るそれらはだいぶ正気度下がるところですね。
 ただ他のミステリーとかサスペンスとかの作品だと、このあたりは回想だったり推察の視覚化みたいな感じで表現されていて、この作品の表現が特別だとかいうことはない気はします。
 しかし他の作品では感じられないような何かを思ってしまうのは、やはりこれが「死者の脳から抽出された真実の映像」であるという前置きがだいぶ強力なのでしょう…

 また事件そのものよりも「死後に脳を覗き見られる」というおぞましさと他人の見ている風景の美しさだったり、配属された新人の何気ない気持ちだったり。

 グロテスクなシーンも多いマンガですが、読み返すとそういうところのほうが思い出される感じでもあります。

 現在、映画化キャンペーンで1~2巻が期間限定無料です。1巻は大統領暗殺、連続自殺とシリアルキラー貝沼清孝の話。2巻は配属された新人と送られてきた脳、そして露口一家惨殺事件。

 よろしければまずこちらだけでも是非。