イタリアはナポリにサルトを構える日本人、織部悠がお客さんの悩みを服を仕立てて解決という一風変わった人情譚。だいたいこじれた人間関係をイカしたコーディネイトが「おお! これは!」みたいな感じで解きほぐしていきます。
そしてひたすら積まれる紳士服の蘊蓄。深み。
転がる雑貨商の人間関係
今回のゲストは輸入雑貨商の井ノ原氏。一人で食べ歩いているわけではない。
リゾート地・カプリにて食器の買い付けに一苦労、そこから依頼人の恩師のなだめ役、伝説的音楽プロデューサーと一悶着というようにころころころっと話が転がっていきます。最終的にはインド王族の天才物理学者まである。
物語だからというのはもちろんあるけど、こう、世間狭すぎるなあ。
相手も立場ある人だったりセレブだったりして地味にしくじったらアウト的なところなんですけど自然体で渡っていくのがあっさりした絵柄と演出もあって和む感じでなんか不思議なものです。
夏のリゾートの服飾模様
今巻はリゾート地のパーティとかが多いからか、紳士服といってもだいぶくだけたものが多くて珍しい感じでした。へーこういうのもあるのかみたいな。
あの最後に出てきたスーツとか素人目にも良い感じだよなあとか。
七分丈のカプリパンツ(膝下くらいまでのズボン)ってそういう名前だったのかとか。
そしてその組み合わせの意図とかに一目で気づくほうも気づく方ですげええって感じでそのあたりは流石趣味人。
コーディネイトされた姿絵があると分かりやすいんですけど、それがこのマンガのキモでもあるので紹介するわけにいかないのがつらい。
そう、このマンガの服飾って紳士服なんですよ。ゆえにだいたいおっさんのコーデ。
というかそも登場人物がだいたい年季の入った方が多くてなんていうか、渋い。
スーツで「ほう…やるな…!」ってなって認め合うみたいなのは趣味みたいなものなのかなと思うとなんか分かる気はします。
そこで颯爽と現れるジラソーレ社員(バカンス)
うん。バカンスだ…
この脈絡なく差し込まれるジラソーレ社員(幹部に美女揃いの服飾ブランド、ジラソーレはイタリア語でひまわりの意)の各話扉絵ほんとすき。
はぁ…カプリ…