というのを見かけて、「印刷したり在庫抱えたりしなくていい電子書籍は安上がりなはずだ」というのは気持ち的にはそうですよね…と思います。
実際、電子書籍(kindle版)のほうが安いというのは結構見る気がします。
けれど、
そういう人からすると、紙だろうとデジタルだろうと、1つのコンテンツを作る労力ってほとんどかわらないんですよ。企画立てて、著者探して、依頼して、取材して、原稿にして、校正して、デザインのディレクションして、納品する。紙媒体のコンテンツだろうが、電子書籍だろうが、基本的にはこの流れなんです(今回の本は紙の入稿データから電子書籍を作ってるだろうから、この流れじゃないけど)。
だから、作り手として考えると、紙と電子を同じ値段で売りたいし、それで売れたら本当にうれしい。
というのもそうなのですよね、とも思います。
ここで話がズレているのは、私が「節約できるはずだ」という印象を抱いている部分は、主に本作りのコストではなくて流通コストのほうなのですよね。
そして「作る手間が変わらない」とおっしゃってるのは、本作りのコストなのですよね。
じゃあ実際、出版社の取り分が電書になって変わっているのかというのを調べてみました。
出版文化社 共同出版事業部 & 出版共同販売 編集者ブログ : 出版社の収益構造のウラ側
によると
書店+取次卸のマージンは30%、出版社の取り分は70%です。
70%の内訳は印税が10%、印刷や編集費等の製造原価が30%、
販売管理費20%、利益が10%です。
しかし、これは大手や老舗の出版社の条件です。
その他多くの出版社は、掛け率を低く抑えられているばかりか、
配本を取次卸に委託すると、売れようが売れまいが
配本した部数分だけ「歩戻し」という手数料が発生します。
そのため多くの出版社の取り分は、
せいぜい60%くらいといえます。
くらいらしい。60~70%が出版社の取り分。
それで電子書籍プラットフォームの印税はどうかというと、
www.allianceindependentauthors.jp
に表がありますが一部抜粋すると、
Kindleダイレクト・パブリッシング(通常) 35%
GooglePlayブックス 52%
iBookStore 70%
という感じのよう。(これは個人出版ですので、法人契約が別にあるのかもしれませんが…Kindleが65%もってくというのは以前話題になりましたね。流石にこれはどうにかなってるんでしょうか。法人だと)
つまり出版社の取り分は、本屋さんに卸すのとかわらない、どころかもっと酷いということなのでしょうか…これは安くならないわ。
デジタル化によって圧縮したぶんはプラットフォームに持ってかれてるという感じで、でもユーザーからすれば「安くなるはずだ」という印象になっているというつらさ。
グーグルやアップルはアプリでも30%もってかれるのでなんていうか想像できたところではあるんですけどつらい。
個人と法人で違う可能性とか、他のストアの印税率とかはわからないのでこれが全てではないのですが、そのあたりは門外漢には分かりません。どうなのでしょうね…
そんでもってね、GooglePlayブックスやiBooksではない、GooglePlay/iTunesでアプリとして出している独自プラットフォームの場合さらにつらい目に遭うことになる。
それはアプリとして課金されるから、「プラットフォームの売り上げの時点で30%抜かれる」という現実。
このへん(なぜか)BOOK☆WALKERさんが赤裸々にしてくれてしまってるんですけど
BOOK☆WALKER ほぼ公式 — 言い訳じゃないんですよ!? 決済手数料のおはなし
つまりこの時点で、売値の70%を電子書籍プラットフォームと出版社で分け合うということに…
(BOOK☆WALKERのキャンペーンでiOS決済がハブにされてるのもこのへんが関係してますね)
なんていうかお金の話を追うと闇しか出てこない気がしてきっつい。
やはり流通、流通なんや…