あたらしい世界、あたらしいものたち…バトル多めなところから、また秘境冒険譚らしく。
この、理解しがたいが不気味ではなく穏やかで慈悲のない雰囲気、本当にすごい。
成れ果ての村
ボンドルドとの決着をつけ、とうとう第六層に足を踏み入れるリコたち3人と1匹。
割と緊張感はない。
(「メイドインアビス」より)
ボンドルド「度し難い…(震え声」
全く予想外の角度からフックを打ち込んでくるのがこのマンガである。都合の悪いことを隠したりしない。
(「メイドインアビス」より)
奈落のグルメも健在。
さておき新しい層であり、新しい冒険が待っている…わけなのですが、たどり着いたのはアビスの呪いによって変質した「成れ果て」たちが集まる成れ果ての村。
「価値」を交換することを基本とした集落で、貨幣制度や独特の言語による意思の疎通もできている、まさに違う文化圏の集落といった感じではあるのですが。
(「メイドインアビス」より)
その「価値」自体は結構謎である。みんなちがって、みんないいんだろうか…
さらに、「価値」に関しては村の守りがシビアで…他人の価値を傷つける、奪うようなことをすると釣り合いが取れるまで「価値」を強制徴収されることになる (「清算」と呼ばれる)。
何かやらかしたときの代償、であるからある意味当然に思えるかもしれませんが、村の言う「価値」とは、貨幣や所有物のみならず「本人そのもの」も含まれており、それが「釣り合うまで自動的にむしり取られる」わけでなんていうかブローカーも真っ青みたいな。
村の存在もそうだし、成れ果てたちと本格的に交流しているのもここに来て初めてだし(ナナチは姿形は成れ果てだけど、中身はまだ人間寄りだから)、彼らの存在、そして「成れ果ての姫」と呼ばれるものの登場など、アビスの生態にまたひとつ迫っていくことになる巻です。
また成れ果てとして生きてきたナナチと関わりの深い層になるかもしれない感じを受けていますね。今まで謎だった、レグの存在についてもスポットライトが当たりそう。
そして地上にもスポットが当たる
アビスの周囲に広がるオースの街。そこに流れる、「子どもが誕生日の日に死ぬ」噂。
ありがちな怪談みたいな感じであまり記憶になかったそれ (最近アニメで最初から見たときに、そういえばそんなものもあったかくらいの)でしたが、その話にまつわる怪異がオースをじわじわと蝕んでいくよう。
この話もそうだし、2000年ごとの地層で発見される「お祈りガイコツ」など、地上でもじわじわと何かが進行しているようで…
アビスの中もその周囲も、全部あの奈落の大穴に巻き込まれていく
それらはすべて大穴で繋がっていくのか
途中、1ページ程度づつ差し込まれる双子の挿話。
さらっと流せるウンチクのようなものなのですけれど…最後まで読んでからその名前、その内容を見返すと…割と「どういうことになるんだ…」って気持ちで、ものすごく興味を惹かれるんだがこれ以上の情報がない。
特に双子の名前、最後のシーンに繋がっていくところはお約束的なところがあるのかもしれないけど。それでもあの名前が出てくるところで感じる不気味さと荘厳さ、大きな何かの必然性が入り交じったようなものがあるように思えてきてしまうところがすごい。
さらに成れ果てたちはそう考えると、一体いつの成れ果てなのか…みたいなところもあって。
これまでのアビス探検記から、アビスそのものの核心にとうとう迫り始めたところがある探索のスタートになっているかもしれません。やばい。