淡泊な【僕】と正反対の桜良のストーリー。
前々から名前は良く聞いていたところに上巻が199円セールで、コミカライズも「ひとひら」の作者だったから読んでみたところ下巻を普通に購入。見事に罠にはまった格好になります。
余命幾ばくもないクラスメイトとの関わりから
クラスメイトの山内桜良が重度の膵臓障害で後どれだけ生きられるかわからないことを、たまたま病院で知ってしまった【僕】。
病気のことを隠さなくてもいい友達として、そこから【僕】と桜良の関わりが始まっていきます。
医学の進歩で病気の症状は表に出ないことから【僕】以外は誰もそのことに気がつかないくらいで、傍目からはこうなんか爆発しろって感じのそれではあります。
桜良もまた病気であることを誰にも告げずに、【僕】に対してもなんでもなく振る舞っていて、作品にも悲観的な雰囲気は無くむしろコミカルに楽しく読めます。本当爆発すればいいのに…
秘密を知ってしまった【仲の良い人】として
話は【僕】の視点で進んでいきます。
内向的で淡泊で他人に興味を持たなかった【僕】。
なんかもはやギャグみたいなところです。
そんな【僕】(わりと共感できる) が、全く正反対の明るさで生きる桜良に振り回されていき、だんだんと変わっていくところも青春ですよ…モノクロだった日々に色がついていくような表現は割とありがちですが、読み進めるとまさにそのような印象を受けます。
また、この【僕】の淡泊さにいろいろと救われているところもきっとあると思う。秘密を知られたことは思いがけずだったけれど、桜良がその後も【僕】にいろいろかまってきたのはきっとそういうところなんだろうって思います。
それを抱えた二人の青春日記

(「君の膵臓をたべたい」より)
「いつか死ぬんだよー」って割と軽く達観してるような少女とそこから仲良くなって (【僕】としては振り回されてるだけだけど) 、自分とは全く違う価値観に惹かれて、また【僕】も変わっていく、綺麗な青春日記でした。
また後半のほうの展開は、だいたい薄々察していたことからさらに裏切られるような形で。そこまで読んできてなんとも言えない。

(「君の膵臓をたべたい」より)
タイトルや(映画や宣伝の)雰囲気とかから(なんか青春恋愛でしょみたいな感じで)ちょっと避けていた節はあったのですが、とても良い作品でした。