怪異、オカルト、都市伝説に謎の事件と推理とくればもうイカしてないわけがないね!
「知恵の神」となった少女と人ならざる青年
幼いころに「神隠し」に遭い、妖怪達の「知恵の神」になってくれないかと頼まれそれを受けてしまったところ、その代償に右目と左足を亡くした少女、岩永琴子。
ある妖怪の肉を体内に取り込み、人と妖怪のまじったものに妖怪達からは見えてるらしい、超常能力の持ち主、桜川九郎。
琴子が九郎に出会って一目惚れしてつきまとうというところから始まって、
(「虚構推理」1巻より)
そのままなし崩しに妖怪退治に。あっれ推理は…?
ミステリーになるかと思ったら最初はストレートに妖怪退治で、しかも九郎先輩の能力までお披露目されてうーむそういう路線かなあとか思っていました。でもこのへんはキャラ紹介のプロローグみたいなものでした。
まあ、基本的には「妖怪退治」に違いなくて、その相手と方法が明らかになるとき、「虚構推理」のタイトルの意味も分かるという仕掛けになっているところはあります。
それはもう「そうかー確かにー!」っていう感じですねー
そこにいる妖怪たち
(「虚構推理」1巻より)
この確かなカッパ力。
本作品内の世界観では、琴子が妖怪達から「おひいさま」と呼ばれ慕われており、妖怪や幽霊もフィクションではなく存在しているという感じ。
(「虚構推理」2巻より)
この、さらっと移動手段とか伝達手段とかで使役してるのほんとすき。
そんな調子なので事件の真相もこう、推理小説で出てきたら「おまえー!」って言いたくなるような方法であっさり知ってしまったりとかして(そこが本題ではないんでいいんですが)
(「虚構推理」3巻より)
って警察官の紗季さんが言いたくなる気持ち超分かる。
出てくる妖怪変化の類も、味方してくれているものたちはずいぶんとコミカルでかわいらしい感じになっているんですが、
(「虚構推理」3巻より)
紗季さん完全にトラウマになっててもっとかわいい。
琴子も九郎も紗季さんも、登場人物は結構表情を崩さない系なんですがその割には行動がコミカルでこのあたりマンガ強いなと思います。後半は特に、事件の真相に迫るにつれ説明台詞も多めなんですが、飽きずに読んでいくことができます。
VS「鋼人七瀬」
そんな彼らが解決することになったのは、「鋼人七瀬」と呼ばれる都市伝説。地方都市で身を隠していたグラビアアイドル七瀬かりんが事故死してしまい、その未練を引きずって夜な夜な化けて出ているという…ありがちといえばありがちな噂。
警察官になっていた九郎の元カノである紗季さんもその事件に偶然絡んでいて、警察という立ち位置から協力をしていく羽目になったりします。
この怪異の真相が明かされ、解決の糸口、勝利条件などが「虚構推理」というタイトルの由縁ですね。
やっぱり分類的には妖怪退治、でもひとつひねってあって難しいぞこれ…っていうところ。ある意味、「現代の怪異」VS「旧来の怪異」という構図でもあるのかもしれません。
九郎先輩の能力もだんだん明らかにされていくにつれ、それはほんと強力なんだけどエグいうえに合理的なこと考えるなあという気持ちですね…でもあの妖怪の能力、言われてみれば確かにその解釈は逆転の発想かもれない。そういうところは面白い。
それはそれとしてこのアイドル七瀬かりん、作中でのエピソードも結構細かく語られていたりするのですがそれ読んでると本当に惜しい人を亡くしてしまった感がすごい出てくる。ファンになりそう。
(「虚構推理」2巻より)
この劇中劇のよくわからなさとか良い味出してる。
(「虚構推理」2巻より)
なんかほら、推理小説って予想外の逆転とかありそうじゃないですか。ある意味メインキャラクターなわけで、しかもアイドルだし、そういう何かないかなあみたいな期待をしてしまうところまでるわけですよこれ。
ですが結局は…うーん。なんともいえない。つらい。
管理人は七瀬かりんを応援していますと言いたかった。