妖精や怪異に好かれ引きつけてしまう性質「夜の愛し仔≪スレイ・ベガ≫」である羽鳥智世と、ガイコツ頭の「本物の魔法使い」エリアス・エインズワースが織りなす欧風幻想物語。
「隣人たち」と呼ばれる妖精など人の世の常識ではないものたち、イギリスの童話的な世界観や魔術的蘊蓄要素が構成成分として地味に丁寧に書き込まれていて派手さはないけれど静かに染み入るようなエピソードが多く、また生活に溶け込んでてなんていうか隣にいてもまあこんなもんかみたいな雰囲気になりそうなその生活感。
チセもエリアスもシルキー(家についている妖精)も物静かなほうですしね。シルキーに至ってはそもそもしゃべらない。だがそれがいい。
ルツは完全に犬。いやまあ犬の怪異なんだからそうなんだけどたまに人の姿になるもんだから…
シルキーとバンシー
今巻でもいろいろなエピソードがありましたが、読み終えてまず僕は今までマンガかゲームかのイメージでバンシー=アンデッド=泣いたら死ぬ、みたいなふうだったのを本当にお詫びしたい。
そういうイメージとどうにも違うからちょっと見直してみたところ、むしろ逆(死ぬから泣くの)であり、所謂死神みたいなところなのかなあ。
シルキーはうちにきてくれてもいいんだ…(信心深さもなく古いしきたりもないからだめか。しんだ。
(そもそも純粋なケルト系やゲール系の家じゃないとあかんという話も
でも「泣き声を聞いたら死ぬ」ってイメージ、何からだっけか…思い出せない…
リャナン・シーの結末
リャナン・シーと老人の話の結末。隣人と人間の関係の一つの結末としての綺麗な容赦のなさ。ハッピーエンドでもある。
魔法で人を幸せに、というそれではないのかもしれないけど、押しつけがましさのないこのラストは好き。
にしてもエリアスは淡々と容赦ないわ。当人としては事実を述べてるだけでもあるしどうしてそうしないの? というのは人ならざるもの的感覚ではそうなんだろうけどさーみたいなところはあるけど。
むしろリャナン・シーのほうがよほど人間らしいというところまである。ように見えるのは隣人たちのほうが感情豊か、というより喜怒哀楽の吹っ切れ方が激しいからかなあ。恐いと感じるのはその(人の命を吸うという)生態もあるけど、人の常識の通じなさであったりそれによる好意が裏目ることであったりだしなのかも。
妖精の国にて
そして魔法の薬を作るために無茶をしたチセを癒やすために訪れた妖精の国での、シャノン医師との出会い。「妖精の取り替え子≪チェンジリング≫」で人間の子と取り替えられ、そのまま人間として育てられた妖精シャノンと、妖精の国で育ってしまい人ではないものになったシャナハン。だいたいはどちらかの親が対処して元サヤになるらしいんだけどどっちの親も大して気にしなかった結果、人間くさい妖精の医者と半妖精化(?)した元人間の夫婦が爆誕。
シャノン(妖精)のほうがどことなく哀しみと諦観を秘めた語りをしていて、完全に脳天気なシャナハン(元人間)。環境が人を育てるというやつか…(違う
冬至の準備
冬至の準備の話はちょっと番外編ぽい感じの一話完結であるけど丁寧に準備と作法が解説されていってへーなるほどなーと思っているうちに終わった。こういう地味目の話も好き。神様は何を不機嫌に思うかわからないから厄介。でもあのこぼれたヤドリギを愛でているのはかわいい。
最後チセがちょっと照れてるのがまたかわいいんだけどこの空気感…嫁というより親子…
ルツは犬。はっきりわかんだね。大きな黒犬は団らんの象徴。
限定版ドラマCD
うちに届いたのはええもちろん限定されたほうですとも!
ドラマCDは田舎の園芸市と古い橋にいるものの話。恐いようで恐くない。
なんていうか怪異譚だと、ここで「つきあいかた」を間違えてこじれたことになるんだろうなという。「つきあいかた」を間違えない故に、地味な感じになっちゃってるところあるんですが。だがそれがいい。
それでドラマCDということはもちろん声が入ってるということでおおすごい…イメージどおりだ…という感動とともにやっぱり親子感が半端ない。
エリアスさん完全にお父さんや…ルツは犬。どこまでもこの黒妖犬の犬アピール。
声が入ると言うことは動画になるのもリーチかなと思っていたのですが、
アニメ化決定していた
PVも流れてたし劇場でやるらしいし6,7,8巻まで限定版DVD確定らしい。
うぉっふう!!!
でも欲を言えばDVDじゃなくてBDで収録してくれないかなあ…まだ無理かなあ…