人と魔物、違う種族の知的生命体が存在する世界で悪態つきながら事件解決に挑むライルくんの明日はどっちだ
「邂逅の日」より
およそ千二百年ほど前に、突如現れた「魔物」。「邂逅の日」と呼ばれるそれにより、ドラコンや妖狐、巨人などの存在が現実となって人類との戦いが巻き起こった。
それから時は流れて現代、人と魔物は共存しつつ争いつつ、この世界で過ごしているというのが舞台背景。
基本的には人間社会ベースで魔物を受け入れている、というような状況ですが、そんな状況でもあるから人と魔族の間での事件は絶えず。主人公であるライルくんはそんな事件を解決していく「人魔調停局」で活躍している、キャリアは浅いが優秀な実働官です。
優秀…なんですがこの周りからのふりまわされっぷりがライルくん…
パートナーであるユニコーンのアルミス、護衛対象のドラゴン娘クーベルネなどなど周りのみんなもパワフルでライルくんがんばれ。
基本スペックからして魔物だらけの中でのライルくん(人間)なのでがんばっているとはいえよう…
人と魔物の共存する世界
それでこの、人と魔物が共存しつつ争いつつ現代まで発展してきたという世界。平和に共存している魔物たちもいれば、それによる魔物と人間との社会問題も孕みつつ描かれているところがまた、物語の端々からハードでダークなものがにじみでていてじわじわとたまらない。
といってもその衝突はある意味、人間同士でも起こりえるようなことでもあったりして…魔物もすべてが「人類の敵」というような分け方ではなくて、人類とは違う種族、知的生命体として存在しているところがまた話を複雑にややこしく、面白くしているところです。
ふだんは人化して人間と同じ姿形をしているけれども、人とは違う、思うままに超常の力を発揮するものたち。それに対抗、共闘するために銃火器と魔具で武装する人類。
調停局の局員も魔物が多く、事件を起こすのは排斥主義者の人類団体だったりする。
正義か悪かという単純な話ではない事件の数々に挑み奮闘する、ライルたち人魔調停局の活躍がアツいところでもあります。
だが正義はある。
ピンク髪のドラゴン娘 (13)(推定)。
正義。
ドラゴンが治める「竜羽の里」から使者としてやってきた竜族の姫クーベルネの大人っぽかったり子どもっぽかったりするその輝きにほっこりしつつ。
アルミスのクールビューティなユニコーンっぷりはユニコーンだから仕方ない。
みたいなコミカルな枠も挟みながらの、人類からすれば規格外の「魔物」とのど派手な殴り合いと社会の闇が折り重なってラストまで走っていくなかなか爽快な物語でした。
雰囲気としてはこう、アメリカンなハリウッド的な映画に近いかもしれないですね。舞台も装備も現代風だし。そういったテイストが好きな方も是非。