つんどくダイアリー

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わりと好き勝手書いてるからネタバレてたらごめんね。旧「怒濤の詰ん読解消日記」。積まれてしまったマンガ、ラノベなどを読んで感想を書いています。結果として面白い本の紹介だったりまとめだったりになってる。/端末の表示によると、あと740冊/※本サイトはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています。ページ内のリンクがアフィリエイトリンクの場合があります。

1991年に執り行われる聖杯戦争、騎士に恋する女の子は無敵なんだね! 「Fate / Prototype 蒼銀のフラグメンツ」1巻感想

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Fate/Prototype 蒼銀のフラグメンツ (1)

 騎士に恋する女の子と魔術について語る異聞・聖杯戦争前日譚。メンタルがHELLってる気もしますが…(震え声

※ここから先にはネタバレがあります。Fateシリーズはその話の展開、構成すべてに驚きと仕掛けが込められているようなもので、どうあっても感想というとネタバレになってしまうところがあるかもしれません。(おいしいところはなるべく残しておきたいとは思っていますが) 未読の方、ネタバレが気になる方はここで引き返し、迷わず本作を手に取ることおすすめします。

東京・新宿で執り行われる聖杯戦争

 1991年、新宿。魔術師達の悲願である根源の渦への到達を求めて「聖杯」を巡る、サーヴァントとマスター7組の殺し合い。沙条家当主・沙条広樹とその娘・沙条愛歌はセイバーの英霊を召喚しその戦争に飛び込んでいく。

 本作品の立ち位置は少し特殊で、「Fate / stay night」のプロトタイプ--つまるところ「お蔵入り」となっている1999年を舞台とした聖杯戦争があり、さらにその前日譚、8年前の物語の断片を集めるかのような連作短編です。FateのPrototypeのZero的なところ。

 「聖杯を求める魔術師達」「7人のマスター、7人のサーヴァント」など共通しているところも多いですが、これは魔術師が魔術師として参戦していく物語であり、またその内容も第三者視点のような、独白のような文章が断片的に「1991年」を炙りだしていくような紡がれかたをしています。

 今巻では主に沙条陣営、愛歌や綾香、セイバーにクローズアップされています。

恋する女の子の突破力

 そしてこの恋する女の子力…

 イングランドの騎士セイバーの願いを成就するためならなんでもする(手段を気にしないという意味で)勢いの女の子、マスター階梯第一位、沙条愛歌。

 くるくるっとふわふわっと恋に恋する無邪気な女の子に最強の魔術力と欠落した倫理観が揃ってしまったら…

 ところどころに差し込まれる挿絵のほとんども幸せそうな愛歌だったり沙条家の団らんだったり、愛歌がセイバーに一途でベタ惚れなのがとってもよく伝わってきたりするのでこの物語が至る結末に震えるわけです…



 1991年の聖杯戦争は、沙条・セイバーペアが他のサーヴァントをすべて下し、しかし勝者なしで幕を閉じる。

 そして生き残った沙条綾香は8年後に再びセイバーを召喚し、今度は自分がマスターとして聖杯戦争という闘争の渦に飲み込まれていく。

沙条愛歌

 この話は妹である沙条綾香から見ていた、「完璧で綺麗な恋する愛歌お姉ちゃん」の断片でもあります。

 イギリス料理を嬉しそうに振る舞うお姉ちゃん、目玉焼きを作ってくれるお姉ちゃん、綺麗で特別なお姉ちゃん--

 この愛歌像が、家族のために取り繕っているものでもなく、コインの裏表のような二面性でもなく、光の当たり方が違うだけで愛歌自身はいつも自然体--というのがまた、このとき裏で聖杯戦争が進行していることを考えると一転して、酷く不気味な、それでいて純真なものを感じずにはいられないです。サニーサイドかターンオーバーか聞いてくるお姉ちゃんと静謐の暗殺者を従えているお姉ちゃんはお姉ちゃん的には何も変わらないんだ…

 それこそ料理をするように、キラ☆ふわっと他のマスターを蹂躙していたかと思うと愛歌お姉ちゃん…



 騎士に恋した女の子と、その女の子を守る騎士のお話となるはずだったこの戦争は8年後に引き継がれ。その断片も少しだけ見え隠れしながら進んでいくこの話は、やっぱり恋する女の子の話だったと思うしかなかった。



 それから、1999年の聖杯戦争を感じ取るには「カーニバル・ファンタズム」の特典映像「fate / Prototype」を是非。

 Prototype materialがついていなさそうなのは残念なところですが、ついているやつはお値段がアレしてるから…(中古品のほうを選べば、まだいいかな?)

 synopsis(特典映像の台本みたいな感じのもの)にはさらっとヤバい台詞とか書いてあるんでこちらを是非といいたいんだけども。愛歌と根源の渦との関係とか絶句するわそりゃみたいな。

 (synopsisはAnimation materialにも収録されているので、そちらでもよいかも。ただTYPE-MOON BOOKSは扱いが特殊なので注意です)

TYPE-MOON BOOKS - TYPEMOON.COM

 しかし1999年は綾香が誠実なる騎士セイバーに守られたり俺様系イケメンアーチャーに言い寄られたり挙げ句姉妹揃って同じ人を好きになって泥で沼だったりもしかして少女漫画かこれ…
 沙条綾香はstrange Fakeや氷室の天地にも出てきたりしているので、こっちの沙条さんとは時空が違うでしょうけど向こうでの立ち位置気になるところですね。特にお姉ちゃんがどうなってるのか…存在はしているらしい



 サーヴァント的には静謐ちゃんとかランサー(プロト)とかあのファラオとか、さりげなくプロト勢ってFGOに混ざってるんですよね。ほんとあそこ時空が歪んでる。いいぞ、いいそ。