かわいいは正義となる日は来るのか。
ある日、ダンジョンのなか
生まれ落ちていた竜女(ヴィーヴル)と出会ってしまったベルくん。躊躇いつつも保護してしまうベルくん。ダンジョン内で生まれ落ちるモンスターは人に襲いかかるものたちで、通常であれば当然に戦闘の流れではあったけれども、その竜女は何故か襲ってくる様子がなく、人の言葉が分かるよう。
しかも同族であるはずのモンスターたちからも敵視されているようで、どこにも居場所がなさそうなその娘をベルくんが放っておけるはずもなくお持ち帰り。また女の子が増えた
この人の言葉を理解して知性を宿している、モンスターとしては異端の竜女を見つけたことから始まるのが今回の物語。モンスターとは、ダンジョンとは、という世界のバックグラウンドについての話にもなっていく感じ。
今まではベル・クラネルの物語という感じだったのが、視点としてちょっと大きくなったような気もします。
モンスター娘ちゃんとの日常
それでその竜女のウィーネ。ダンジョンで生まれたばかりで受け答えは幼児なみ、おっかなびっくりヘスティア・ファミリアのメンバーになじんでいくのがかわいいです。
メンバーのほうも、最初はおもいっきり警戒していた(そりゃ当然)んですが、春姫を筆頭にして結構あっさりなじんでる感じすらする。というかですね、もう一緒にお風呂とか仲良すぎでしょ。カラー万歳!
というか神ヘスティアが気にしなさすぎる。…この世界のダンジョン・モンスターの立ち位置って、滅ぼすべき邪悪なものというより、フタをしてる災害みたいな感じなのかなあ。神様的には。他の神様も、しゃべるということには驚いてたけど嫌悪感を示してない気がするし。
人間達のほうはやはりダンジョンで直接戦っているのもあってか、「モンスター」というだけで排除しようとしてくるような感じにはなります。これは現状では仕方の無い話…ですけど。
そもそも意思の疎通ができる、ということがイレギュラーですから。
そんな常識外れの存在を抱え込んだヘスティア・ファミリア。でもなんかベルくんとヘスティア様のファミリアだしなんていうか平和や…この平和さがひとつの鍵になっているところでもあります。
人の悪意と欲望
で、この「しゃべるモンスター」、ウィーネが最初の一体というわけではなくて、表沙汰にはなっていないけれど、以前から確認はされていたようです。
当然イレギュラーで珍しいものなのですが、敵意がない(むしろこちらに怯えている)珍しい生き物が人間に見つけられたらどうなるか…そしてそれが、通常であれば討伐の対象になるような存在であったらどうなるか…ええ、まあ、そうですね。そういう奴らもいますし、そういう好事家もいるということです。
神様達の一部もこういう事態に気がついていて、どうにかしようと骨を折っているふうなのは少し意外でもあり、ああ神様だな、と思うところでもありました。
この話はなんと上下巻構成で、一応区切りはついているけど人とモンスターの関係が変わることができるのかというところは10巻に続く…というような感じになっていてううむ、続きは気になります。
いや、10巻で一気に変わるということもないだろうか…そんな簡単な話だったら、もうとっくにそうなっているだろうし。
またダンジョンとモンスターの輪廻転生というところも興味深く、そもそもこの「ダンジョン」とは何なのか、というところにまで話がいくのかなあ。
人が神の子であるなら、モンスターはダンジョンの子。これが敵対する運命にないのであれば、徐々に共存できるようになっていく、その過程を見ているのかもしれないですね。