転生先が乙女ゲーの世界だったシリルが悪役令嬢ソフィアお嬢様の執事になって破滅フラグをブチ折っていく…のかと思ったらそれはだいたい1話で終わって別の意味で雲行きが怪しくなるラブコメ。傍から見ていてシリル、どう考えても惚れてまうでしょわざとやってるのかおまえ。
乙女ゲーのシナリオ的にお嬢様と一緒に処刑される立場だった執事のシリルが自分の実を守るためにお嬢様を悪役令嬢落ちさせない…ってのはよくわかるのだけど、そういう事情で「大切に思ってるけど恋愛感情はない」ってポジションに立ってるから話がこじれるんだよなあ…(仕事で関わる主人に対しては至極真っ当な態度ですけど)
それで王子に嫉妬する悪役令嬢ルートからは外れたものの、ソフィアお嬢様の性質そのものが大きく変わっているわけではなく闇落ちの矛先がシリルに向くか向かないのか…
またシリルがフラグ回避に尽力した結果、闇落ちせずまっすぐ気高く育ったソフィアもむしろ正統派ヒロインの貫禄があります。ありますがたまに年相応のやきもち焼いてるのかわいい。それもまた良い。
お嬢様から好意を向けられて困るような顔してたシリルくんおまえ絶対わざとやってるだろな2巻。制服のお披露目で口を寄せて囁くとかおまえ…おまえ…
舞台が学園に移ってゲームの主要人物も揃ってきている2巻。裏社会に接触したり庶民派(平民の派閥)と選民派(貴族中心の派閥)がどろどろしてきたりして作品の方向もわかってくるようですね。学園内派閥と政治闘争と…あんまりわかってない12歳の第二王子と。(冷静に考えるとこの人達小学6年生なんだよ)
その第二王子が引っ掻き回していく3巻…年相応っちゃそうですよ…むしろ他の登場人物が難しいことしてんなあって感じにもなるね…そういう面でちょっとかわいそう。でも取り巻きを諌めないと誤解は生むしね…
それからぽよぽよしてるだけに見えてたアリシアの鋭い一面とかめげない感じとか、ヒロイン力がどんどん上がる巻。でもなんだかんだソフィアお嬢様と仲良さそうにしてるところは、原作乙女ゲーの悪役令嬢ルートとはもう別れてるんだろうとは思えるところ。
…といっても破滅するのは原作ルートだけじゃない、むしろそこから外れても貴族社会だから普通に破滅するのかって感じも出てきましたね。うーん第二王子…
またソフィアお嬢様の闇落ちが性格ではなく病気(感情のコントロールが難しくなる症状)だったりもして、シリルがきちんと一線をひこうとするのはビジネスマンとしては正しい。正しいけど最後に絶対わざとやってるだろお前… 天然か…? 天然なのか…?
見ようによってはシリルがずっとソフィアお嬢様とアリシアお嬢様をたぶらかし続けてるラブコメなんでもうそれだけで大丈夫かなって思いたくなるのですけど、身分とか階級とかどろどろしたものが絡んできて裏の読み合いがスパイスにもなっててラブでコメっているだけでは済まない世界でもあり、どう乗り切るかが気になっていく話です。4巻目はどうなるのかねこの終わり方…